積水ハウスで、夢をかたちに。

憧れをかたちに、はできなかったけど、3社で迷い積水ハウスになりました。

気密性について考えていること(2):結露や、屋内の空気循環などへの影響

C値と自然換気の簡単な関係式

前回はシミュレーションをもとに、C値と自然換気(漏気)回数の関係について調べてみました。

 

調べている中で、C値と自然換気回数をつなぐ近似的な簡便法として、

 

C値を0.1倍すると、だいたい自然換気回数になる。

 

という関係が述べられているのを発見しました。前回の掲載した表をみると、確かに住宅地の中であればこの関係が成立しています。計画換気の量が0.5であることと、この関係を覚えておくとよさそうです。

 

C値が高いと隙間風がぴゅーぴゅ―吹いて寒い?

UA値やC値を改善することは快適な家をつくるための手段です。逆に言えばC値が高いとどうして困るかを考えれば、どの程度のC値を目指すべきか見えてくるかもしれません。そこで、まずは「C値が高いと、家が寒くなるから困る。」とか、「すきま風が入ってくるから困る」という点について考えてみます。

 

C値が1.5(あまり意識しないでできるほどほどの性能の家?)と、C値0.5(結構実現が難しい高気密の家)を比較するとC値の差は1.0なので、自然換気は0.1回分増えることになります。

 

もしC値が0.5だと寒くないけれど1.5だと寒いのだとすると、0.1回分の換気が結構大きなインパクトを持つことになります。このとき風の向きと隙間のある場所の関係によって全体で0.5+0.1回の換気になることも、0.5回のうちの0.1回分が自然換気になることもあるでしょうが、4倍から5倍分は計画換気で空気を入れ替えていることになります。

 

第三種換気の場合、単位量当たり、計画換気で取り入れる空気と、隙間から入り込む空気が家全体をひやす効果は同じなので、家がとても寒くなり、第3種換気はとても使い物にならないはずです。

 

もちろン実際にはそんなことはなくて、第三種換気でも相応に快適に暮らせているわけです。であれば、C値が1.5だととても寒い、といった言い方は大げさだし、もし非常に敏感で気になるのなら、より風量の多い計画換気の方法について考えた方が良いのだと思います。

 

C値が高いと家の中で空気が計画通りに流れない?

2時間で家の中の半分の空気が2回入れ替わっても、家の中の全部の空気が1回入れ替わっても、家全体で見れば換気回数は0.5回になります。

 

家全体の空気の質を保とうと思えば排気口の風量をコントロールするだけではだめで、家の中で空気がよどむ場所が出ないように計画換気を設計する必要があります。このためには、一棟ごとに間取り図に基づいたシミュレーションが必要になるでしょう。

 

これまでのところ、こうしたシミュレーションをハウスメーカー工務店が行っているという話をほとんど聞いたことがないし、実例を見たことはありません。

ただ、第2種換気+全館空調というユニークな方式を採用しているパナソニックホームズは、全館空調がちゃんときくかどうか、そしてダクトをどう配置するかを考える上で、かなり精緻なシミュレーションを行っているときいたことがあります。(実際にみたわけではないし、一次情報でもないので、真偽は直接確認してください・・・。)

 

また積水ハウスも、プレスリリース(2020年12月14日  )によると、

 

住宅業界で初めて、住宅設計用 CAD と連携した邸別換気解析システムを構築し、お客様のプランごとに換気効率や空気の流れのシミュレーション動画を提案します(2021 年 4 月開始予定)。本システムの構築によって、「スマート イクス」で提案する換気・空気清浄の効果について、きれいな空気の広がり方、空気の通り道を、設計段階から見える化できるようになります。お客様のプランごとに適した換気・空気清浄設備のレイアウト等を合理的にご提案します。

 

とあり、換気シミュレーションができるのかもしれません。実はこれについては営業のIさんに依頼したのですが、「全部固まってから・・・・。」ということでやってもらえるかどうか微妙です。即座にお断りされなかったので、実際にシミュレーションをするツールはありそうですが、あまり使われていなかったり、とても大変だったり、積極的にはアピールしたく無いというニュアンスを感じました。

 

現実問題として、変動要因が多いため、換気シミュレーションの有効性は限定的かもしれません。吸気口(第3種)・給気口(第1種)と排気口の位置関係は間取りを設計すれば決まるとしても、

  • トイレ、風呂、玄関などの換気扇の使い方
  • 窓を開ける度合い、どこの窓をかけるか
  • エアコンの位置・風量
  • 部屋の間仕切りを開けた場合、占めた場合

など、風の流れが家の使い方に依存する点が多いからです。

 

計画換気の段階でもこれだけ複雑なので、漏気がどのような影響を及ぼすかを判断するのは難しそうです。ただし、隙間が局所的に固まっている場合、特に排気口の近くに大きな隙間がある場合などは影響が大きそうな気はします。実際には、隙間が一か所にかたまっているのであれば発見や対策も容易な気がするので、家の中に隙間が散らばっているケースの方が多いのではないでしょうか?こうしたケースでどの程度換気の流れを妨げるかは未知数です。

 

歯切れが悪いのですが、定性的に見てC値が高くて良いことはない、という点には異論がないのですが、C値が例えば0.5違うとどれぐらい問題か、とか、家の中全体の空気の質を向上させることを目的としたとき、一番響くのが気密性なのかどうか、という点については議論の余地がありそうです。

C値が高いと壁内結露する?

壁内結露を防ぐためには、壁内に湿気を持ち込ませないこと、壁内の温度が下がらないようにすることで湿気が結露するのを防ぐこと、そして湿気が入り込んだら素早く外部に排出できるようにしておくことが必要です。

気密性との関連で壁内結露が起こるのは、冬によく加湿された室内の空気が壁の隙間を伝って屋外に抜けようとする場合でしょう。気密性を高めることで壁内に取り込まれる湿気を減らすというのは確かに理にかなっています。

湿気を素早く輩出するためには、壁内に設けた通気層で換気をすることがポイントのようです。例えば、積水ハウスのデュアルベンチレーションシステムでは通気層➁がこの役目を果たしているようです。

積水ハウスのホームページからお借りしました。

 

積水ハウスのホームページからお借りしました。

一方で、壁内に湿気や冷気が入り込む要因として、床や天井と柱の取り合い部分の通気止め不良があるのだとか。これが原因で起こる結露を移動型結露と呼ぶそうです。

こちらの考え方は、先の通気層とは逆に、壁内(にある断熱層)内に気流を起こさなないようにする、というものです。考え方からすると反対の用ですが対立する概念ではなくて、両立させることがポイントです。

壁内環境については理解できていないことばかりですが、巷でいわれる「ずり落ちた断熱材」みたいなケースはちゃんとつくられた最近の住宅では珍しいようだし、問題になるのは結露計算をせず、透湿防水シートを省いてしまったり、といったケースも多いようです。

そもそも透湿シートを使う段で気密を保ちつつも湿気を外に逃がすことが前提になっているわけで、私はC値の小さな差よりは壁内の通気層など他の要因の方が気になります。C値は低い方がよいのでしょうが、少なくとも壁内結露対策としてC値を改善しようとするのは優先順位が違うのではないでしょうか。

 

まとめ

今回の記事は自分でも現在進行形で考えていて結論がでていないテーマであることもあり、ぐだぐだです。

はっきりいえるのは、C値は低いに越したことはない。ということだけ。

同時に、いろいろと言われている問題の解決策としてC値を下げることが第一の手段かどうか、あるいはC値が下げることによる改善の幅については、まったく自信がもてない。とも感じています。

寒さの問題は、第一種か第三種かという方が効きそうだし、換気の問題は、換気計画の質の方が大きく効きそう。壁内結露も、おそらくC値よりも壁内の設計や施工でより直接的に効く要因がありそうです。ただ、C値を下げられる施工会社は、その他の面でも施工品質が高い可能性がある、とはいえるのかもしれません。

今回調べてみて、デュアルベンチレーションシステムの構造や、気密施工をお願いした時に何が変わるのかなど、機会があれば設計士さんに質問してみようと思いました。それ以外ではC値については少しおおらかな気持ちでいようというのが今の結論です。