積水ハウスで、夢をかたちに。

憧れをかたちに、はできなかったけど、3社で迷い積水ハウスになりました。

断熱について考える(1):家庭で使用するエネルギー

家が使用するエネルギー(一次エネルギー)の内訳

一般家庭が消費するエネルギーは、暖房、冷房、換気、給湯、照明、その他(家電など)に分けて考えることができます。

実際の使用量は家ごと、日ごと、住む人ごとに異なりますが、ZEHや、省エネルギー基準などの基準を満たしているかどうか判定するためには標準的な計算方法が必要になります。この計算式は国土交通省によって定めれらており、多くの場合この計算式に基づく基準値(理論値)を元に判断されるようです。

 

https://www.mlit.go.jp/common/000026837.pdf

この分類とはやや区分が異なりますがエネルギー庁の試算によれば、平均すると30%弱が冷暖房、30%弱が給湯、残りが照明・換気、その他に相当するようです。

家庭の用途別エネルギー使用量

この数字は全国平均、年平均だと思います。この場合、

  • 12月から1月や、8月など特定の月は、冷暖房費の割合がとても高くなる。
  • 北海道など寒冷地は冷暖房費の割合が高くなる。

と考えられます。

家づくりへの示唆

エネルギーコストの観点では、断熱等級5以上に上げるのは割りに合わないのでは?

断熱性を高めることで大きく削減することが見込めるのは、冷暖房費用の部分です。特定の月に電気代やガス代が大きく跳ね上がることにより痛みを感じやすいので「冷暖房費用が削減できる。」というのは感覚としては非常に魅力的です。

一方で、寒冷地でない場合には年間を通してみれば冷暖房は全体の30%弱。仮に冷暖房に必要な熱量を半減できたとしても、家全体としてのエネルギー消費量は15%弱しか減らないことになります。

さらに、冷暖房に必要な熱量が、家が失う熱量に比例するとすれば、熱量を半減させるためには、U a値0.6(6地域で断熱等級5)を、Ua値0.3(6地域で断熱等級3=0.26に肉薄)まで引き下げる必要があります。

ZEH(ZEH+)で目指すものの一つが、省エネ基準からエネルギー消費量を20%(25%)であることを考えると、冷暖房だけで15%下げることができればとても大きい。けれど、断熱等級7に近い水準を狙うためには、ある程度は断熱材の密度を上げることで対応できるけれど、サッシの部分など断熱性を大幅に向上させにくい場所や、熱橋があることをも踏まえると、付加断熱も利用して断熱材の厚さを倍以上にする必要があります。

仮に総2階、長方形(10m x6m)の家があったとしてます。この家の延床面積は120平方メートルで約36.3坪です。

断熱材を厚くしつつ、上から見たときに同じ専有面積の家を作るとします。(一般的には壁芯で考えますが、ここでは外周を基準に考えます)角の部分の誤差を無視すれば、10cm X(10+10+6+6)x2 =6.4平方㍍(約2坪)分、壁が暑くなり、有効に使える面積が減る事になります。

言い換えれば、36坪の家で2坪を居室に使う代わりに断熱に使うという困難な決断をした上で、やっと全体のエネルギーの15%を削減できることになります。

追加的なスペースを取るためのコストと、断熱材のコストなどを含めて一坪80万円と考えれば、2坪では160万円のコストになります。

エネルギーコスト以外の断熱性のメリット

断熱性を上げることのメリットは、エネルギーコスト削減だけではありません。

  • 家の中の温度ムラが少なくなることが期待でき、快適度が高まるはず。
  • 局所的に寒気に触れる場所が減る可能性が高く、結露リスクを抑えられる。
  • 消費エネルギーを減らすことは、エコの観点からは絶対に正しい!

これらのメリットを総合的に考えてどの水準の断熱性能を目指すか考える事になります。

他のエネルギー消費

冷暖房に次いでエネルギー消費が大きいのが給湯です。従来型の給湯器からエコジョーズエコキュートにすることでエネルギー効率を上げることができますが、使う湯量が同じであればこれ以上削減する技術は今のところ普及していないようです。

照明も、白熱電球や蛍光灯からLEDに置き換えることでエネルギー消費を抑えることができますが、この置き換えもほぼ一巡でしょう。今後エネルギー消費量を大きく削減する道はまだ見えていません。

家電についても、待機電力を抑える工夫・改良などは続くと思いますが、短期的には大きなブレイクスルーは期待薄です。

全体としてみればエネルギー消費を抑える方向には限界があると思います。

家庭での発電

エネルギー消費抑制に限界があるとすれば、残るは太陽光などを用いた自家発電により正味でのエネルギー使用量を減らす方向性です。

 

先ほどのざっくりとした計算で、断熱等級を5から7近くに上げるためのコストは、それに必要な空間(間取りへの影響)も加味すれば、160万円になりました。160万円あれば、太陽光発電を6Kw程度載せる事ができるでしょう。6Kwあれば、36坪で断熱等級5(6地域)であればZEH水準をクリアできる可能性が高く、少なくとも晴れの日の昼間消費電力はほぼ賄えるはずです。ネットでの消費電力削減効果は15%どころではありません。

 

私は、太陽光発電はライフサイクルを考慮にいれてCO2発生量を見た場合に、一般的に言われる38g/KWhより大幅に高い可能性が大きいが、LNG(599g/KWh)、石炭(943g/KWh)などと比べると圧倒的に少ないと考えています。このため、現在の電気代、設置コストなども含めて総合的に考えると、太陽光発電の採用は個人としてのメリット、社会的意義の両面で理にかなっていると考えています。

私たちの方針

  • 断熱等級5はしっかりと確保するが、デザインやコストとのバランスを考え、性能競争やスペックの追求に走らない。
  • 「空調をできるだけつけない。」ことにこだわらない。全館空調的に一部の冷暖房器具を常時オンにすることを前提に、家の中の温度ムラが小さくなるような換気システム・空調機器の設置方法を考える
  • 家の性能、空調・換気システム、太陽光発電全体で、初期コスト・ランニングコストの双方を加味して最適な組み合わせを実現する。