
はじめに
積水ハウスの鉄骨住宅では、基礎の完成後、建方工事の初期段階で「ダインコンクリートが飛ぶ」と聞いていたので、なんとなく木造でも早い段階でベルバーンが一気に貼られていくのだと思っていたのですが・・・。
木造住宅では建方工事終了時点では、構造用合板が設置されその上(外側)に有孔フィルム(透湿防水シート)が設置されるところまで。建方の最初にダインコンクリートの壁ができてしまう鉄骨とはだいぶ異なります。
これは木造と鉄骨の外壁の構造の違いから来ています。
今回は、シャーウッド(木造)と鉄骨の施工方法・構造の違いを簡単にまとめました。
鉄骨(イズ)と木造(シャーウッド)の比較記事と合わせて、工法選択の参考になれば幸いです。
building-dream-home.hatenablog.com
積水ハウス、木造・鉄骨の外壁構造の違い
積水ハウスの鉄骨と木造では下の図にあるように外壁の作りが大きく異なります。

木造では構造用合板とベルバーン(サイディング)の組み合わせで外壁を構成します。構造用合板はモノコック構造の一部、躯体の一部として建物の強度を維持するための重要な構成要素です。ただし合板は水や湿気に弱いため、防水用シートを張り、通気層を設け、サイディング(ベルバーン)を外側に設置することで、意匠性を高めるとともに、合板を雨露などから守るわけです。
これに対して、鉄骨建築では鉄骨だけで十分な強度が確保できるため、合板に相当する面で支える部分を躯体に必要としません。従って柱の外側にいきなりサイディングがきても問題ないわけです。合板が構造材に直接貼られているように、サイディングであるダインコンクリートは鉄骨に直接接続されていますが、ダインコンクリートには構造を支える役割はありません。風雨を遮る役割を果たせば十分です。
それぞれの施工手順
シャーウッドの施工
シャーウッドは、柱から外に向けて
- 柱を立てる(建方工事)
- 外に構造用合板を貼る(建方工事)
- 構造用合板に透湿防水シートを貼る(建方工事)
- ベルバーンをつける(外装工事)
の順番で工事します。従ってベルバーンは建方工事の後に行うことになります。ベルバーンはサイディングの一種で構造用躯体の一部ではないことが一目瞭然です。
ベルバーンは厚みも大きさもダインコンクリートより小さめ。人が何枚かまとめて運んでいける重さです。とはいえ、工事現場にあるベルバーンを持ってみたところ、素人が運ぶには十分に重かった・・・。
施工する際も、人が一枚一枚持ち上げて壁に設置していきます。
鉄骨の施工
これに対して、ダインコンクリートはとても重く、人力では運べません。さらに、工場でダインコンクリートと鉄骨が組み立てられた状態で出荷されます。
現場では、ダインコンクリート付きの鉄骨を基礎に設置することで外壁部分が一気にできあがってしまいます。ダインコンクリートはとても重い上に鉄骨までついているので、クレーンで釣りながらせっちしていくところが、ダインコンクリートが飛ぶ、といわれる所以ですね。
ダインコンクリートの方が鉄骨より存在感があるので、工事現場を見ていると、躯体工事は柱を立てていくのではなく、あたかもダインコンクリートのパネルを組み立てることで家をつくっているような印象すらうけます。木造でいえば、2X4工法と施工時の見かけが似ているのです。人によって合理的ととるか、プレハブみたいととるか、意見がわかれるところだと思います。
鉄骨住宅の施工はとても合理的
鉄骨住宅って、木造軸組工法と同様に、まず鉄骨で骨組みを組み上げてあとから壁をつくるのだとおもっていました。積水ハウスのダイナミックフレームシステムの説明に使われる下図のイメージです。(積水ハウスのホームページからお借りしました。)

しかし、先にも触れた通り、ダインコンクリートの外壁と鉄骨が工場で組み立てられた状態で現場に運ばれてくる様子は、積水ハウスの施主様たちが共有している「ダインコンクリートが空を飛ぶ」動画を見るとよくわかります。
- ダインコンクリートがとても重いのでどのみち重機をつかわないと設置できない
- ダインコンクリートには強度があり、鉄骨をつけた状態で宙につっても問題が無い
- 現場で作業するより、工場で作業する方が施工精度を高めつつコストを削減できる
となれば、ダインコンクリートと鉄骨を工場で組み立て、現場では外壁と躯体を一気にくみ上げていくのは工数削減、コスト削減の面でも、品質確保の面でも非常に合理的だと思います。
木造と鉄骨、どちらがコストがかかる?
一見すると、鉄骨の方が木造よりもコストが高そうな印象がありますが、実際のところはどうなんでしょうか?
確かに同じ太さ、同じ長さの木材と鋼材を比較するのであれば、鉄の方が高そうな気はします。しかし基礎工事、建方工事を見ていて、
- 鉄骨に比べて木造の方が柱や梁の本数・太さが必要
- 木造は、外壁部分の施工工数が鉄骨に較べて大幅に多そう
ということで、必要な資材の量・手間の点で鉄骨は相当のアドバンテージがあるのではないか、と感じました。結果として、案外鉄骨の方が安く作れたとしてもおかしくないなと思いますし、積水ハウスの場合は、鉄骨よりも木造が高くなりがち、という話もよく聞きます。ただし、私たちの見積もりを例にとると家全体の価格の中で躯体部分の金額ベースの割合は20%弱です。従って、鉄骨と木材で相当に柱・梁の価格・使用量が違わない限り、全体の価格への影響はさほど大きく出ないかもしれません。
一つだけ落とし穴があるとすれば、鉄骨の方が木造よりも重いこと。これは鉄骨自体が重いことに加えて、ダインコンクリートがベルバーンに較べて圧倒的に重いことが理由です。このため、木造では問題が無い地盤でも鉄骨にすると地盤改良が必要になることがあり得ます。この場合、地盤改良費用分、鉄骨が追加でコストがかかることになります。
まとめ
積水ハウスに関して言えば、鉄骨住宅の工法は非常に合理的にできていると思います。さらに合理性を追求すると、セキスイハイムやトヨタホームズのようなユニット工法に行かざるを得ないのでしょう。結果として、性能に対してコストパフォーマンスの良い家づくりが可能になるのではないでしょうか?
これに対して、シャーウッド(木造)は、積水ハウスらしく効率を追求しつつも物量投入で、相応に手間をかけてしっかりとくみ上げた家です。梁をみているとほれぼれしてきます。表し梁にしなかったので、隠れてしまうのがとても残念なぐらい。鉄骨よりも高くなる可能性もありますが、建築過程を見るのも楽しく、満足感も高い家づくりになりそうです。