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家全体の雰囲気を決定づける壁紙選び、徹底解説

1. はじめに:壁紙選びの重要性

壁紙は、インテリア全体の雰囲気を決定する重要な要素です。家の広い面積を占める壁紙は、部屋の印象を劇的に変える力がありますが、費用的には比較的安価でコストパフォーマンスの良い選択肢です。特にリフォームや新築の際には、壁紙を使って大きなデザイン変化を手軽に実現できるため、多くの人が壁紙に注目します。

一方で、インパクトが大きいからこそ壁紙選びにはインテリアの他の要素との調和を考えるなど押さえておくべきポイントがあります。更に機能面や、選べる建具の色などの現実的な制約も併せて考える必要があります。

本記事では、壁紙選びのポイントを解説し、家全体のデザインをまとめ上げるためのアドバイスを提供します。

2. 壁紙の種類と役割

壁紙を大きく「ベース壁紙」と「アクセント壁紙」にわけて考えると良いと思います。

2.1 ベース壁紙とは?

ベース壁紙は、家の大部分を占める壁に使用される基本的な壁紙です。通常、白やベージュ、グレーといったニュートラルカラーが選ばれ、空間に落ち着きと広がりをもたらします。ベース壁紙の役割は、インテリア全体の統一感を保ちながら、他の要素を引き立てることです。

ニュートラルな色調のベース壁紙は、リビングやダイニング、寝室、廊下など、家全体に適用しやすく、他のインテリア要素との調和が図りやすいです。控えめでありながらも、インテリアの基盤を作る重要な役割を果たしています。

2.2 アクセント壁紙とは?

アクセント壁紙は、部屋の一部にデザイン性や個性を加えるために使用されます。リビングの一角や玄関、トイレ、寝室のベッドヘッドなどに使うことで、視覚的なアクセントを与え、空間に動きを持たせます。アクセント壁紙を選ぶ際には、家全体のデザインテーマに沿ったものを選ぶことで、バランスを保ちながら空間に特徴を加えることができます。

ただし、アクセント壁紙は過剰に使いすぎると、部屋全体の統一感が崩れる可能性があります。アクセントを効果的に活用するためには、使用する場所や量に配慮し、全体の調和を意識することが大切です。

3. インテリア全体の調和を考えた壁紙選び

3.1 全体のイメージを整える

壁紙は床や天井、窓、家具、照明、装飾品などの他のインテリア要素と一体となり、空間を作り上げる重要な要素です。家全体や各居室のデザインテーマやイメージが明確であれば、壁紙選びもスムーズになります。

請負契約を結んだ後のインテリアの打ち合わせは順番が異なることもありますが、一般的には建具→設備→床材→壁紙→ウィンドウトリートメント→照明→家具といった具合に分野ごとに進んでいくことが多いでしょう。各段階でその部分だけに集中して好きなものを選ぶと、全体としての調和が損なわれる可能性があります。

明確なイメージがなくても、「明るい」「落ち着いた」「ゴージャス」「モダン」「コンテンポラリー」「ナチュラル」「アーバン」「ミニマリスト」といったキーワードや、ベージュ系、グレー系、ブラウン系などの色の系統を考えるだけでも、大きな違いが生まれます。

全体の方向性が決まっていれば、部屋ごとのアクセントを調整しつつ、全体的な統一感を維持することが可能です。

たとえば、ラクダは、大開口部を取り入れたリビング・ダイニング・キッチン(LDK)において、庭の緑との調和を考慮し、「落ち着いたアースカラーの組み合わせ」をイメージしました。また、家全体には「コンテンポラリーな静けさや落ち着き」「ミニマリスト的なすっきり感」「シャープな造形と柔らかな照明の組み合わせ」「日本の匠の技」などをイメージしてインテリアを考えました。

こうしたイメージは家づくりを考える中で徐々に具体化しましたが、常に全体と部分の関係を意識し、異なる分野を同時並行で検討したこと、そして何よりインテリアコーディネーターがうまく導いてくれたおかげで明確になりました。

3.2 過度な主張、うるささの排除

壁紙やその他のインテリア要素を選ぶ際には、各要素が主張しすぎないように配慮することが重要です。アクセント壁紙は、個性を表現するために使用されますが、同時に、照明や家具、装飾品なども空間内で重要な役割を果たします。これらの要素がすべて強く主張すると、空間全体が「うるさく」感じられ、視覚的な過負荷を生じさせる可能性があります。

たとえば、リビングルームでアクセント壁紙を使用する際、インパクトのある照明や目立つデザインの家具を同時に配置すると、それぞれが競い合い、結果的に落ち着きのない空間になってしまいます。このような状況を避けるためには、どの要素を主役にするのかをあらかじめ決めておくことが大切です。アクセント壁紙を主役にする場合、家具や装飾、そして照明ははシンプルなものを選び、逆に家具や照明に特徴を持たせる場合は、壁紙を控えめにするなどのバランスを取ることで、空間に調和をもたらすことができます。

さらに、各部屋ごとにテーマを変えること自体は問題ありませんが、家全体の一貫性を考慮しないと、過剰なデザインの違いによって「ごちゃごちゃした印象」を与えてしまいます。適度なアクセントを加えながらも、全体として落ち着きのある空間作りを目指すことが重要です。

4. ベース壁紙の選び方

ベース壁紙は、家全体の統一感を保ちつつ、他のインテリア要素を引き立てるための重要な要素です。

とはいえその役割からベース壁紙は主張が強くないものがよいし、施工範囲が広いために価格も大事です。このため、各ハウスメーカーの標準仕様に含まれている樹脂系壁紙の中から選べば十分だと思います。

それでも色とパターンの組み合わせで多数の候補があり、選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが大切です。

4.1 統一感とカラーマッチング

ベース壁紙は家全体の統一感を保つために、白、ベージュ、薄いグレーといったニュートラルで明るめのな色がよく選ばれます。これらの色は他のインテリア要素と調和しやすく、部屋を広く見せる効果もあります。

また、壁紙を選ぶ際には、床材や建具とのカラーマッチングも重要です。たとえば、木目調の床やダークカラーの建具と合わせる場合、ベース壁紙が明るすぎると不自然なコントラストが生まれる可能性があります。そのため、ベース壁紙の色はインテリア全体のカラースキームと統一感を持たせることが求められます。

さらに、建具やスイッチ、コンセントの色はあまり豊富ではないため、ベース家具に一般的でない色を選んでしまうと、それらと合わせるのが難しくなることがあります。これも考慮に入れてカラーマッチングを行うことが重要です。

4.2 デザインと素材の選定

日本の住宅では耐久性・施工性・汚れにくさ・価格などのメリットが大きく日常生活に適しているため、樹脂系壁紙が好まれます。この他の自然素材系壁紙も特にアクセント壁紙として使われることがありますので、こちらは別の記事で紹介します。

更に、ベース壁紙には厚手で凹凸のあるエンボス加工した壁紙が選ばれます。このタイプの壁紙は、光の反射を抑え、石膏ボードの継ぎ目などからくる壁の凹凸や欠点を目立たなくする効果があります。

代表的なデザインには、以下のようなパターンがあります:

  • 織物調:織物の質感を再現したデザインで、柔らかく温かみのある雰囲気を演出します。特にリビングや寝室に適しています。

リリカラのホームページからお借りしました。

  • 石目調:自然石の質感を表現したデザインで、モダンでシャープな印象を与えます。玄関やキッチンなど、スタイリッシュな空間に最適です。

リリカラのホームページからお借りしました。

  • 塗り調:塗り壁のような仕上がりを持ち、シンプルかつ高級感のあるデザインが特徴です。全体的な統一感を持たせたい場合に適しています。

リリカラのホームページからお借りしました。

  • 木目調:自然の木材を再現したデザインで、温かみのあるナチュラルな空間を作り出します。リビングやダイニングなどにぴったりです。

さらにそれぞれのパターンの中で目が細かいもの、大きいのもなどいくつかのバリエーションがあったりします。

5. アクセント壁紙の選び方

アクセント壁紙は、空間に個性やインパクトを加えるために使われる重要なデザイン要素です。リビング、寝室、玄関など、特定の場所に使用することで、視覚的な焦点を作り、空間に動きを持たせます。アクセント壁紙を効果的に選ぶことで、部屋全体のデザインが引き締まり、バランスを保ちながら個性を加えることができます。

こちらは施工範囲が狭いのでコストの差が相対的に小さいこと、趣味性が高いので標準で提供されている壁紙の中にイメージに合うものが無い可能性があることも考えると、いろいろな壁紙メーカーの商品を検討する価値があります。

5.1. アクセントクロスの設置場所

アクセント壁紙は、部屋の中で視線が集まりやすい場所に配置するのが一般的です。たとえば、リビングの壁一面や、寝室のベッドヘッドの背後、トイレの一部の壁、玄関の壁など、特定の場所に取り入れることで、部屋にメリハリをつけることができます。

リビングや寝室では、壁の一部分だけにアクセント壁紙を使用することで、空間に深みと個性を与え、視覚的に印象的な仕上がりを作ることができます。また、トイレや玄関のような小さなスペースでも、アクセントクロスを使用することで、限られたスペースに効果的にデザイン性を持たせることができます。

5.2. デザイン選びのポイント

先ほども述べましたが、アクセント壁紙を選ぶ際には、家全体のデザインテーマや色調との統一感を保つことが重要です。無計画に異なるデザインを使いすぎると、全体がごちゃごちゃとした印象になり、統一感が損なわれてしまいます。そのため、インテリア全体のテーマに合わせて、アクセント壁紙の色やパターンを選ぶことがポイントです。

たとえば、モダンなインテリアには、幾何学模様やメタリックのデザインがよく合います。ナチュラルなテイストの部屋には、植物柄や木目調のアクセントクロスを取り入れることで、自然な雰囲気を演出することができます。アクセント壁紙は、部屋に動きを持たせる重要な役割を果たすため、色や柄の選定には十分な計画が必要です。

5.3. 機能性に応じた選定

通常、アクセント壁紙はデザイン性を重視する場所に使用されますが、場合によっては機能性も考慮する必要があります。たとえば、トイレや土間収納などの場所では、防水性や防汚性が求められることがあります。このような機能面が求められる場所では、見た目だけでなく、耐久性や清掃のしやすさも重要な選定基準となります。

アクセントクロスとしての役割と、機能性を両立させるためには、用途に応じた素材選びが重要です。たとえば、トイレや洗面所では、防水性のあるビニール素材のアクセントクロスが適しているでしょう。また、土間や玄関の収納スペースなど、泥や汚れが付きやすい場所では、汚れが目立ちにくく、掃除がしやすい壁紙を選ぶことが推奨されます。

6. 実務的な注意事項

壁紙選びの際には、サンプルを見ただけでは分からない実際の使用感や仕上がりを意識することが重要です。以下の実務的なアドバイスを参考にすることで、壁紙選びにおける失敗を防ぐことができます。

私たちが特に「やってよかった。」と思っているのが、壁紙のサンプルを住んでいる家の壁に並べて貼り、毎日眺めることでした。これにより下で触れるいくつかの注意点に対処でき、確信をもって壁紙を選べるようになりました。

6.1. サンプルより施工した壁の方が良く見える

壁紙のサンプルは、特に薄いものだと頼りなく見えることがありますが、実際に壁に貼るとサンプルよりもはるかに良く見えます。施工後のイメージを考慮して選定することが大切です。

とはいえ、なかなか施工後のイメージをつかむのは難しいものです。この際に役に立つのがモデルハウスや完成宅見学です。モデルハウスや完成宅で施工後の壁紙を見るとだいぶイメージがわくだけでなく、実際に使っている型紙の型番も教えてくれることがあります。型番をもとにサンプルを確認すると、施工前後のギャップを把握できるようになります。

6.2. 面積が広いと、色は明るく見える

色のついた壁紙は、広い面積に貼ると一段階明るく見えることがあります。この現象は壁紙だけでなく、ソファに張地やカーテンなどのインテリア素材にも当てはまります。そのため、色選びの際にはサンプルで見たときよりも少し落ち着いた色を選ぶことで、実際に施工したときに違和感のない仕上がりになります。

6.3. 壁紙を見る距離に注意

壁紙は、近くで見るのと実際に壁に施工してみるのでは印象が大きく異なります。サンプルを近くで見ると、細かなデザインや質感に注目しがちですが、実際には遠目で見たときの全体の印象が重要です。そのため、サンプルを部屋の少し離れた場所に置いて眺めることで、実際に施工した際の仕上がりをイメージしやすくなります。

6.4. 少し時間をかけて検討しよう

第一印象が良いものが本当に良いものとは限りません。例えば、新しくテレビを買おうと思って家電屋に行くと、コントラストが強くて色の出方が派手な機種に目を惹かれがちです。けれどこうした機種は往々にして目が疲れやすかったり、何でもハイファイ調で映されるために画像の深みにかけて飽きやすかったりすることがあります。

同じように、壁紙もデザインがはっきりとしていたり、インパクトのあるものに目がいきがち。だからこそ、壁紙選びは、時間をかけて慎重に行うことが重要です。私たちの場合、候補となる壁紙のサンプルを実際に壁に貼り、2週間ほどじっくりと眺めて過ごしました。

最初に良いと思っていたデザインでも、時間が経つにつれて違和感が出る場合もあります。そのため、サンプルを貼った状態で一定期間過ごし、他のインテリア要素とのバランスも確認することで、最終的な選定がより確実なものになります。

6.5. 壁紙の厚さもチェックしよう

薄い壁紙は、光の当たり方で下地が透けることがあります。時には石膏ボードの継ぎ目が壁紙の上からわかってしまうことも。また、下地処理がうまくいっていない場合、下地の凹凸を拾ってしまい、表面が均一にならないことがあります。これを不陸といいますが、壁紙メーカーは不陸が起きやすいかどうかを等級でつけていたりするので、凹凸が気になる人は確認することをお勧めします。

不陸が出にくい壁紙は厚手でエンボス加工をしたもので、黙っていればハウスメーカーがベース壁紙の候補に挙げてくるものはみな不陸に強いはずです。不陸が気になる人が自分で壁紙を選ぶ際の一つの判断基準として、リフォーム時にも使えるとされている壁紙は不陸耐性が強いと思って良いです。リフォーム時には前の壁紙を剥がした後に新しい壁紙を貼りますが、どうしても剥がしたあとはきれいにならないため、不陸耐性が高いものが必要になるのだそうです。逆に商業施設用の壁紙は、不陸をあまり気にしていないことが多いようで薄めのものが多いとか。

私たちはベース壁紙は不陸に強いものを選びましたが、ラクダとうさぎの書斎には、それぞれ薄くて不陸に敏感なアクセント壁紙を選んでしまいました。ICさんに「神経質でなければ、まあ大丈夫だと思います。」と後押しされたこともありますが、気に入った壁紙だったので、リフォーム時には使えないのだったらぜひ新築の時に、と思ったこともあります。ICさんには、「大丈夫です。リスクわかったうえで選びます。」と大見えをきったのですが、上手に施工してくれることを祈るばかりです。

壁紙を貼る前に石膏ボードの継ぎ目や、ビスをうったところ

7. まとめ

壁紙選びは、家全体のインテリアにおける重要な要素です。ベース壁紙によって空間に統一感を持たせ、アクセント壁紙で個性を加えることが、バランスの取れた美しい空間を作り出す鍵となります。壁紙は他のインテリア要素と比較してコストパフォーマンスが高く、比較的簡単に変更できるため、冒険してみることも可能です。

しかし、壁紙選びは慎重に行う必要があります。特に、建具やスイッチ、巾木、窓サッシといった固定要素との調和が取れていないと、全体のデザインに違和感が生じることがあります。サンプルを見て即断するのではなく、実際の使用感や全体のバランスを考慮しながら選定を進めることが大切です。

最終的には、家全体のテーマや雰囲気を意識し、全体の統一感とバランスを保つことが成功の鍵です。時間をかけてじっくり検討し、実際の生活空間に最適な壁紙を選び出すことで、満足のいくインテリアを実現できるでしょう。