
前回に続いて蓄電池の話です。
打合せで話を聞いていると、蓄電池の導入事例はあまり多くないような印象を受けます。他社も含めて見積もりを改めて取ってくれるとのことなのですが、打合せで名前がでていたニチコン、シャープでどのような商品があるのか、自分でも調べてみました。
積水ハウスの設備カタログと、メーカーのサイトを比較すると、特注扱いにしなくても導入できるのは、以下の設備になるようです。
- パナソニック:創蓄電連携システムS+ - 3.5/5.6/.0/9.1/11.2kWh
- ニチコン:トライブリッド蓄電システムII(T3)-4.9/7.4/9.9/14.9kWh
- シャープ:クラウド蓄電池システム -4.2/6.5/8.4/9.5/13.0kWh
メーカーのホームページから入手した情報を以下にまとめました。価格は定価ベースで、この記事を書いた2024年1月時点のものです。
パナソニック 創蓄連携システムS+
特徴
- スリムデザインで屋内設置可能(屋外もあり)
- 3.5, 5.6, 6.3kWhを2つまで組み合わせ可能、後から追加も可能
- 5.6kWhまでは特定負荷型・100Vのみ
- AiSEG2対応
- 200Vトランスユニット(LJTR241)が独立している
- 200V仕様の際は、自立出力4.0KVA
- ハイブリッド・パワコン(太陽光+蓄電池)
システム図
必要な機能だけを採用できるようにモジュール化されており、コンポーネントが細かく分かれているのだと思います。
ただ、停電時に通常と同じように電気を使いたいと思うと、ほぼフルセットが必要になります。
パナソニックはこの場合に必要なものをわかりやすく図にしてくれています。

システム構成 停電時出力200Wタイプ
価格
システム価格としてまとめられているなかには、トランスと電力切替ユニットの価格が含まれていません。
200V、全負荷型を実現するためには追加で、
- 200Vトランスユニット(LTRJ241):632,500円
- トランス用壁掛け架台(LJTMT53):138,600円
- 電力切替ユニット(LJTS3353):272,800 円(ただし30Aまで)
が必要になるので、これを追加すると
| 蓄電容量(kWh) | 価格(円) |
| 5.6 | 3,069,000 |
| 7.0 | 4,749,800 |
| 9.1 | 5,365,800 |
| 11.2 | 5,981,800 |
となりました。
ニチコン ESS-T3シリーズ
いろいろな製品が出ていますが、太陽光パネルと同時に設置するので単機能は除外。ハイブリッドか、トライブリッドが選択肢になります。積水ハウスのカタログと比較すると、トライブリッドのESS-T3シリーズが採用されているようです。
T3シリーズの中にはハウスメーカー専用モデルとしてESS-T3SS/T3LS/T3Fが記載されていますが、電池容量4.9kWh、9.9kWh、12.0kWhとラインナップが異なります。積水ハウスの場合は、ESS-T3S1/T3M1/T3L1/T3X1モデルと同等のようです。
特徴
- 4.9kWhと7.4kWhの2種類の蓄電池ユニット。同じものを2つまで接続できる
- 太陽電池、蓄電池、EVの内臓電池を統合制御できる(トライブリッド)
- 太陽光パワコンとしては8.8kWhまでカバーできる(搭載量は10kWh)
- どの容量でも全負荷型、200V対応
- パナソニックでいう本体、パワコン、200Vトランスが一体
- 自立出力、連携出力 4.0kWh(蓄電ユニット一つ)または5.9kWh(二つ)
- V2Hスタンド、V2Hポッドは後からつけられる
システム
パナソニックと異なり、トライブリッドパワコン部の中に200Vトランス、パワコン、コントローラー部などがすべて含まれているため、下の図にあるようにすっきりとした構成になります。

(出典:ニチコンホームページ)
リモコンは、トライブリッドパワコンに付属しているので、V2Hを導入しない場合には、トライブリッドパワコンと蓄電ユニットだけを購入すればよいようです。
価格
カタログによれば、
- トライブリッドパワコン:120万円
- 蓄電ユニット:120万円(4.9kWh)、170万円(7.4kWh)
なので9.9kWh(4.9kWhx2)の場合、定価360万円になります。
シャープ クラウド蓄電池システム
特徴
- 200V対応
- 蓄電量量が大きい場合には全負荷型(8.4kWh以上)
- 後からEV対応(現時点ではまだ発売されていない機器が必要)
- 屋内・屋外兼用蓄電ユニット
構成
4.2kWh、8.4kWhの蓄電池は在庫僅少とのことで残り以下の2種類です。全負荷型にしたい場合、6.5kWhX2、または9.5kWhX1になります。
蓄電ユニット
JH-WB1921:6.5kWh (X1、X2)
JH-WB1921:9.5kWh (X1)

(出典:シャープホームページ)
蓄電池(JH-WB2021/JH-WB1921)と蓄電池連携型パワーコンディショナ(JH-55NF3/JH-40NF2)を接続した太陽光発電/蓄電池システムを設置しておくと、将来電気自動車(EV)を導入時にEV連携が可能です。
価格
パワーコンディショナ―につなげる太陽光発電の回路数などで複数のモデルがあり、価格も若干違いますが、おおよその定価はこちらです。
JH-WBPDB660(9.5kWh)- 4,496,250円
パワーコンディショナー JH-55NF3
コンバーター JH-WD2111
エネルギーモニタ JH-RWL8
JH-WBPDB755 (13kWh) - 6,184,090円
パワーコンディショナー JH-55NF3
コンバーター JH-WD2111×2
エネルギーモニタ JH-RWL8
三社の比較
全負荷型、200V対応を要件に3社を比較しました。
|
蓄電容量 |
システム価格 (万円) |
kWh当たり単価 (万円) |
|||||||
| パナソニック | 7.0 | 9.1 | 11.2 | 475 | 540 | 600 | 67.9 | 59.3 | 53.6 |
| ニチコン | 7.4 | 9.9 | 14.8 | 290 | 360 | 460 | 39.2 | 36.4 | 31.1 |
| シャープ | 9.5 | 13 | 450 | 620 | 47.4 | 47.7 | |||
定価で見るとニチコンに価格優位性があります。実際の販売価格は定価とは大きく異なるので、ハウスメーカーの割引率によって順位は変り得ますが、モジュール化しているパナソニックに対して、一体化しているニチコンは製造コスト、設置コスト共に抑えやすいのではないかという気がします。
ニチコンに死角があるとすれば故障時の対応でしょうか。製品としては複数の機能が一体化されているために、修理が効かない故障があった時に一部だけ交換することが可能かどうか未知数です。故障時に全部交換ということになればコストが高く、保証や修理部品の入手可能性が一層重要になりそうです。
Tesla Power Wall テスラ パワーウォール
最近米国ではPower Wall 3が発表されました。Power Wall 2は単機能型ですが、Power Wall 3はハイブリッド型になるほか、自立出力も大幅にアップするようです。日本での発売がいつになるかわからないので、ここではPower Wall 2についてひとこと。
蓄電池を付けたいと思ったときに、最初に思い浮かんだのはPower Wall 2でした。13.5kWhもあり価格が100万円台前半。これに対して上にまとめたように日本の蓄電池は10kWh前後でも400万~500万円します。
ところが、Power Wallは指定された業者しか工事ができず、積水ハウス経由では導入できません。しかし、保証の問題を別にしても、第三者にダインコンクリートやベルバーンに穴をあけてもらうなんて怖くてできません。ということで、泣く泣く候補から外したのでした。
既に太陽光発電を持っている人が卒FITなどで導入するには、Power Wallはとても有力な候補だと思います。ただ、新築で大きめの太陽光発電を載せる場合に関しては価格面での差も結構縮まるように感じています。その理由としては、以下が挙げられます。
- Power Wallが定価販売なのに対して、日本のメーカーは値引き率が大きいこと。実際にはkWhあたり20万円前後のようで、定価から見ると大幅に値引きされています(残念ながらもらった見積もりはこれより高いのですが・・)
- ハイブリッド型の場合、太陽光発電用に専用のパワコンをつける必要がありません。6kWh以上の太陽光発電をする場合、パワコンを2つつけて40万円ぐらいになると思ますが、この分がコスト減となります