積水ハウスで、夢をかたちに。

憧れをかたちに、はできなかったけど、3社で迷い積水ハウスになりました。

家の気密性を確保するためのポイント

この記事は、気密性に関して調べたことのまとめです。

空気はどこから漏れるのか

最初に持っていたイメージは、家の外壁に隙間があったり、壁に穴が空いていて、外から中へ(あるいは中から外へ)、一直線に空気が通っていくイメージでした。しかし、それ以外の経路からも空気は漏れるのです。

家の外部と内部が“直接”繋がってしまう

家の外周の開口部で動くものは、どうしても隙間ができるので空気が漏れやすい。具体的には、玄関ドア、勝手口、開閉する窓など。ゴム製のパッキンなどで隙間を埋める仕様になっていも、経年変化で気密性は落ちていく。

これ以外も、吸気口・排気口は内外で空気が直接出入りするが、こうした場所は空気が出入りすることを前提にした施工をするので、寒さ・暑さや、湿気の出入りの問題を別にすれば、気密性が欠けていることから発生する諸問題とは関係ない。

家の内部と外部が壁内通気層を通じて繋がってしまう

全ての家がそうなっているのかわからないけれど、候補として検討した大手ハウスメーカーの家は、壁内に通気層を設けることで、壁内の湿気を排除する仕組みになっている。例えば積水ハウスの場合、二つのレイヤーに通気層をそれぞれ設けることで、壁内結露対策を徹底している。当然のことだが、通気層は、屋外と繋がっている。

自分にとって、気密性が低い結果発生する大きな懸念の一つが壁内結露なので、しっかりとした壁内通気を通じた結露対策は、気密性との関連でも大きなポイント。

ただし、気密性(C値)という点では、室内と気密層が繋がっていれば、気密性は低下するので、室内と気密層をしっかりと分離したい。

(構造用)合板や、気密シート、時には適切に施工された断熱材がこの役目を果たしてくれるが、合板・シートに穴が空いている場所や、継ぎ目で空気が漏れる。穴が開くのは、配管・コンセント・スイッチなど、など。

天井や床を通じて空気が漏れる

天井・床は柱と梁の取り合いの場所など、意識しないと気密を確保しにくい場所がある。こうした場所は屋内の仕切り壁と繋がっていることが多い。仕切り壁は気流がない前提になっているので、外壁で行うような気密処理は行わない。したがって、仕切り壁から天井・床経由で空気が漏れることになる。

気密性を高めるための対策

気密性を高めるのは、ある意味簡単です。隙間を

開口部対策

  • 開口部の数を減らす、勝手口をつけない
  • 引き違い窓→滑り出し窓(あるいは固定窓)など、気密を取りやすい仕様を使用
  • 気密性に配慮した製品にアップグレード

通気層経由の漏気対策

  • 気密テープなどで継ぎ目を処理
  • 配管などのための穴の隙間を塞ぐ
  • コンセント・スイッチを防気カバーで対策
  • 家の外周の壁に極力コンセント・スイッチをつけない

仕切壁→天井・床の漏気対策

  • 天井・床の通気どめをしっかりと施工してもらう

工法と気密性との関係について理解したこと

上で上げたように、気密性をあげるには愚直に隙間を埋めるしかありません。施工の丁寧さで対応できる部分が多く、意欲的な工務店が対大手ハウスメーカーのアピールポイントとして前面に落ちだしてくるのも納得できるところです。しかし、気密性を上げやすい工法、上げにくい工法もあります。

 

鉄骨と木造

上げにくい工法の代表格は鉄骨(ラーメン式、軸組)工法です。鉄は温度変化により伸びたり縮んだりします。鉄の熱膨張係数は12.1X × 10^-6 /℃です。5mの梁を使い、夏と冬で温度変化が20度あるとすると、

 

12.1X × 10^-6 × 20 × 5000 = 1.21mm

 

となり、1.2㎜のびたり縮んだりすることになります。この伸び縮みを逃がすためのあそびも必要になるし、隙間もできやすくなります。たかが1㎜だけれど、家中の柱と梁が伸びたり縮んだりするため、無視できません。

 

これに対して、木の熱膨張係数は樹種により3~4と、鉄骨の1/3以下です。伸び縮みには繊維の方向なども影響しますが、異なる気を貼り合わせた集成材ではさらに係数が小さくなるかもしれません。いずれにしても、木の骨組みは、鉄の骨組みよりも、伸縮しにくく、最初にきちっと隙間を埋めれば、その状態を保ちやすいことがわかります。

 

軸組工法と枠組工法(2X系)

軸組工法+断熱材で気密をとる場合には、断熱材を隙間なく埋めたり、気密テープでしっかりと隙間を埋めたりする必要があります。しかし、軸組工法で耐力壁を作るために筋交いを使う場合、(吹付断熱でなければ)筋交いの周りに断熱材を入れにくかったとりと、その後の気密処理を一層丁寧に行う必要が出てきそうです。

 

これに対して、2X系工法の場合は合板部分は空気を通さないなど、断熱材やシートに頼らずともある程度の気密を保てそうです。実際に、断熱性能もそうですが、機密性能が高いハウスメーカーを見ていると、2X系工法を採用しているケースが多いことに気づきます。

 

もっとも、積水ハウスも含め最近多く採用されている筋交いのかわりに構造用合板で耐力壁をつくるモノコック工法は、耐力壁部分に関しては2Xと構造が似ているので、筋交いを使う伝統的な工法よりも気密性には有利でないかと期待しています。

 

木造の中の工法の違いは、鉄骨と木造の比較とは違い、気密シートや気密テープなどで丁寧に処理すれば埋められる差なのだとは思います。しかし、この「丁寧に作業をしてもらう。」ということがなかなか難しく、施主側からは施工のクオリティが見えにくいだけに、難しいところです。

 

あまり何も考えなくても気密性の高い家にしたい、という場合には、やはり気密性を保証していたり売りにしている工務店あるいは、一条工務店のようなHMに依頼するか、せめて2X系の木造HMにお願いするのが良い気がします。

私たちの対応

住みやすさやデザインを重視したうえで一定の性能を確保したいとい順番で考えている我々にとって、「家は性能」路線は選べませんでした。熟慮の上、積水ハウスになりましたが、積水ハウスは気密性をあげることに対する意識や、動機に関してはかなり後ろ向きだと感じています。

積水ハウスは気密性は重視していない、いや全く気にしてないかも。

「そもそも気密性を1.0を大きくきる水準までさげることが、一部の人たちにいわれているほど大事なのか?」という本質的な問題については、思うところもあり「全体のバランスの中で、そこまでこだわるところではない。」という積水ハウスの態度はわからないでもありません。

 

しかし、鉄骨と木造を両方手掛け、「どちらでも同じことができます。ベルバーンとダインコンクリートのどちらが好きかで、鉄骨か木造を決めたらいいです。」という営業トークをする会社なので、(より気密性の悪い)鉄骨をベースに話をしないと困ったことになる、という大人の事情も結構大きいのではないかと勘繰ってしまいます。

 

積水ハウスには、主として寒冷地向けの気密施工オプションがありますが、このオプションを採用した時の目標値(確約値ではない)はC値2.0です。これは、鉄骨ではそれなりにがんばった数字だと思いますが、木造の場合は、同程度の施工をすればC値1.0ぐらいになるのではないでしょうか?少なくとも、鉄骨と木造で異なる目標値を設定することが合理的な態度だと思います。が、それは「鉄骨が気密性では劣る」と明言することになるから、やりにくいのでしょうね。

 

それでも気密性をあげるために・・・。

積水ハウスは現場も含めて技術力のある会社だと感じています。あとは、やる気と意識を持ってもらえればなんとかなるかも、ということで以下が私たちの試みたことです。

  • 打合せで折に触れて気密性を重視していることを伝えたり、気密性に関する質問をしたりと、我々にとっての重要性を営業マン、設計士に伝える。
  • 気密施工オプションを付ける。これにより、標準では含まれないコンセント用防気カバー処理などが追加される。
  • コンセント、スイッチをできる限り仕切り壁に設置したり、防気カバーのないタイプのコンセント(パナソニックのSプレートなど)は、仕切り壁以外には使わないなど工夫をすると共に、設計士に本気を伝える。
  • 施主が用意して気密測定を実施

これにより、自分たちでできる努力をしたうえで、設計士に思いを伝え、現場の人にもわかってもらるようにしました。

これで、最終的にどのような結果になったかは、夏の終わりごろの気密測定の結果をもとに報告したいと思います。