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徹底解説:布基礎とベタ基礎(2):二つの基礎を比較してみる

はじめに

「シャーウッドは布基礎だけど、流行りのベタ基礎じゃなくて良いのだろうか?」という疑問に答えるための考察シリーズ第2回です。結論は、前の記事に既にまとめてありますので、そちらもご覧ください。

building-dream-home.hatenablog.com


今回は、具体的にベタ基礎と布基礎を比較していきたいと思います。

ベタ基礎と布基礎

布基礎

布基礎は、建物の外壁や柱などのみに基礎を設ける工法です。この方法では、建物を「線」で支えることになります。ベタ基礎と比較すると面積は狭いかわりに、基礎の部分は幅を広く(フーチング)し、深く根入れしてあります。

昔は基礎と基礎の間は土のままだったり、防湿シートだけ施工していたりしましたが、現在では、湿気対策の観点から薄い防湿コンクリートを流すことが多く、施工後に見るとベタ基礎と見分けが付きにくいです。

R+House飛騨さんのHPからお借りしました。

ベタ基礎

ベタ基礎は、建物の床面全体を鉄筋コンクリートで覆う基礎工法です。この方法では、建物の荷重を基礎全体で地盤に伝えるため、「面」で支えることが特徴です。

柱や壁から伝わってくる荷重を鉄筋コンクリートでできた床スラブ面に伝えることで、荷重を分散しています。想定通りに荷重が分散されれば、基礎の単位面積あたりの荷重が布基礎に比べて小さくなることが期待できます。

コンクリートの使用量は多くなりますが、掘削工事や型枠の設置が比較的少なくて済むため、施工自体はそれほど難しくありません。

ラフなイメージでは、地盤の上に鉄筋コンクリートの板(スラブ、マット)があってその上に家が載っている感じ。なんとなく土地が海で、基礎が船を想像してしまいます。実際に高層ビルの建築ではスラブのことをラフト(筏)と呼んでいます。

R+House飛騨さんのHPからお借りしました。

ベタ基礎と布基礎の比較

ネット上の声

ネット上では「ベタ基礎が布基礎よりも優れている」という声の方が多数派に思えます。その理由としてよく挙げられているのは以下の3つ。

  • 布基礎の方が古くから使われている。新しいベタ基礎の方が進歩しているのでは?
  • 布基礎の方がベタ基礎より安い。高い方が物は良いのでは?
  • 地盤が緩い場合にはベタ基礎の方が有利

鉄骨住宅については、布基礎が主流でベタ基礎にすべきという声はあまり聞きません。強くベタ基礎を推す声は、ベタ基礎を採用している工務店(ほとんどが木造建築)などに多いからかもしれません。

法制による規定

建設省(現国土交通省)が定めた、”地耐力に応じた基礎の仕様規定(建設省告示第1347号)”によれば、

  • 地耐力20キロニュートン未満の場合は、基礎ぐいを用いた構造としなければならない
  • 地耐力20~30キロニュートン/㎡の場合は、基礎ぐい又はべた基礎としなければならない
  • 地耐力30キロニュートン /㎡以上:基礎ぐい、べた基礎、又は布基礎

となっています。なお20キロニュートン(kN)は、約2トンに相当します。

違いは、ほどほどに緩い地盤で地盤改良をしない場合、「布基礎はNGだが、ベタ基礎なら良い」という点で、やはり工法としてはベタ基礎が有利とみて良さそうです。

地盤に対する負荷

基礎の仕組みから明らかなように、ベタ基礎と比較して布基礎が決定的に不利な点は、荷重する面積の違いです。ベタ基礎は、荷重する面積を稼ぐための工法といっても過言ではありません。

布基礎で荷重している部分は、主として家の外周と屋内の構造壁の下だけなので、敷地全体で荷重するベタ基礎と比較すると、単位面積あたりの荷重が大きくなります。そのため、ベタ基礎よりも高い地耐力が必要です。

このことから、地盤が緩い場合(地耐力がやや弱い場合)には、布基礎では支えきれない一方、ベタ基礎だったら支えられる場合が出てきます。

まとめ

今回は、ベタ基礎と布基礎の仕組みを理解したうえで、複数の観点から二つを比較しました。布基礎の方が高い地耐力を要求するので、その地耐力に満たない地盤の場合にはベタ基礎の方が有利なことは間違いありません。基準となる地耐力の数値も仕様規定で定められているため、土地の状況に即してそれぞれの基礎が適応しているかどうかを判断することができます。

ここで注意したい点が二つあります。まず第一に、仕様規定は最低基準を示しており、一定のマージン(余裕)を持つことが望ましいとは言え、マージンがある水準を超えるとそれ以上マージンを取っても実質的な意味がないということです。従って、地盤が強い場合にはベタ基礎の有利性は必ずしも存在しないと言えるでしょう。

第二に、これまでの比較は、基礎が建物の重さを適切に地面に伝えることができると仮定した議論です。ダメな基礎の二番目の要因、すなわち、基礎の強度を十分に確保できるかどうかも考える必要があります。

次の記事では、この点を中心に見ていきたいと思います。