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徹底解説:布基礎とベタ基礎(1):基礎に求められるもの

はじめに

シャーウッドは布基礎を採用しています。一般的には木造住宅において布基礎よりもベタ基礎の方が良いとされる意見が多いため、気になるところです。

ベタ基礎と布基礎の比較をまとめようと調べてみると内容が非常に多く、深いテーマであることが分かりました。そのため、3回に分けて丁寧に説明することにしました。時間がない方のために、結論を最初にまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。

結論

ベタ基礎が布基礎より優れているのは、地盤が少し緩い一方で地盤改良工事を避けたい場合です。この場合、ベタ基礎では施工可能でも、布基礎では施工できないことがあります。逆に言えば、地盤改良を行わないことを前提に一つの工法だけを採用する場合、多くの土地に対応できるベタ基礎を採用することに合理性があります。

それ以外の場合、すなわち地盤が良好な場合や、逆に地盤が非常に悪くて地盤改良工事が必要な場合、ベタ基礎と布基礎の間で、実現しうる強度という観点での優劣は無いと言えそうです。どちらの工法を選ぶかよりも、基礎の配置、コンクリートの厚み、鉄筋の種類やピッチなど、基礎の設計が重要になります。

ベタ基礎が機能するには、強度を保つために適切な構造を構築する必要があります。このためには構造計算を行うことが必須であり、構造計算無しのベタ基礎は危険を招く可能性があります。

従って、ベタ基礎か布基礎かで選ぶより、構造計算をしっかり行っているところを選ぶのが良いと思われます。

以下に、こういう結論を導き出した理由について、順を追って説明します。

基礎の役割

住宅の基礎は、建物の重さを地面に伝えて沈み込みを防ぎ、地震や強風などの水平力に対して建物を安定させる重要な役割を果たします。

特に垂直方向にかかる力については、建物の重さを横に分散させることで、建物の傾きや沈下を防ぎます。基礎がしっかりしていないと、建物の重さに耐えられずに地面に沈んでしまうことがあります。

基礎に関わるルール

基礎に関しては、建築基準法施行令第38条で定められています。重要なポイントは以下の2点です。

  1. 仕様規定を守る
  2. 構造耐力上安全である

前者は基礎の厚さや鉄筋の太さ・ピッチなどの分かりやすいルールであり、守るのは比較的簡単です。しかし、問題は後者です。

本来の趣旨は構造計算を行い強度を確認することです。実際、大規模な建造物では構造計算が義務付けられています。しかしながら、一般的な大きさの木造2階建住宅の場合には、計算結果等の提出義務を免除する特例があります。この特例は2025年4月から範囲が大幅に狭まる予定です。そのため、これまでの木造建築物用基礎の設計においては、経験と勘に頼り、安全性を十分に確認していないケースが多々あったのではないかと推測されます。

一般社団法人日本基礎鉄筋工業会からお借りしました。

ダメな基礎

地盤が荷重に耐えられない

安全性が保てない基礎の一つ目のパターンは、荷重が地盤の支える力(地耐力)を上回ってしまうような設計です。

極端な例として、建築地が厚さ何メートルもある均一な鉄板のような硬い地盤だとすると、住宅程度の重さを上に載せてもビクともしません。逆に敷地全体が非常に緩い沼地のような地盤の場合、そのまま家を建てれば、どのような基礎を使っても家全体が沈んでしまいます。

現実はこの両極端の間にあります。すなわち、

  • ある程度の重さまでは耐えられるが、重すぎると沈んでしまう(地耐力が有限)
  • 敷地内で地盤が強い場所と弱い場所にムラがある(地盤が均一ではない)

の2点を考慮する必要があります。全体としては良好な地盤でも、一部に緩い地盤がありそこに荷重していると、その部分だけが沈み込む不同沈下が起こります。こうなると、建物が一方に傾き、本来は水平・垂直であるべき柱や床面が傾くことで、建物に大きなダメージを与えます。

基礎を設計する際には、重さを広い面積に分散させることで、それぞれの地点での荷重を軽くしたり、地盤が弱い部分には圧力がかからないように基礎から外す工夫が必要です。

基礎の強度が足りない

二つ目の欠陥パターンは、基礎自体の強度が足りない場合です。

柱の下にそれぞれ独立した基礎を作り、そのまま荷重する場合を独立基礎といいます。この場合、それぞれの基礎は自分が支えている重みで潰れないようにすればよいので、あまり複雑ではありません。ただし、この場合にはピンポイントで柱の下だけに荷重がかかるため、非常に大きな地耐力が求められます。

荷重する面積を広げるために、家の荷重はまず柱や構造壁から土台または基礎に伝わり、次に基礎の中で横に分散されます。分散させればさせるほど、地盤に対する負担は軽くなります。

基礎は地面を押しますが、反作用で地面から基礎が押し返されます。荷重を伝える構造に強度がなければ、力がうまく伝わらないだけでなく、上からの重みで押される力と下の地盤から押し返される力に耐えられず、基礎が歪んだり破壊されたりします。

基礎が水平であることは建物の水平を保つための大前提です。基礎が歪むと不同沈下と同じ影響が懸念されます。

今回のまとめ

「布基礎はベタ基礎より劣るのか?」という問いに答えるために、まず基礎の役割や、何が基礎の良し悪しを決めるのかについて整理しました。次回は、具体的にベタ基礎と布基礎についてみていきたいと思います。

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