はじめに
これまで、三井ホームとの出会いから、準備段階とも言える二回の打ち合わせの状況をお伝えしてきました。
building-dream-home.hatenablog.com
building-dream-home.hatenablog.com
この間に土地も固まり、3回目の打ち合わせからはいよいよ本格的な家づくりの打ち合わせに入ります。営業担当のPさんからは、3回目の打ち合わせでは設計士が同席すると言われており、期待が高まります。
三井ホームの設計士、Vさんは人となりも素晴らしく、提案内容もとても魅力的でした。それまで住友林業推しだった私たちが、一気に三井ホーム推しになったのも、Vさんのおかげです。
今回は、Vさんと間取りプランを中心にお話しします。打合せでいうと、3回目から6回目に相当します。
回目 | 内容 | 日数 |
---|---|---|
3回目 | 設計士との顔合わせ、要望のヒアリング | 61 |
4回目 | プラン提示(一回目) | 94 |
5回目 | プラン提示(二回目)・IC紹介 | 116 |
6回目 | プラン提示(三回目)・設備仕様 | 130 |
要望ヒアリング
土地が決まるまでは間取りの書きようがなく、顧客の本気度も分からないため、ハウスメーカーにできることが限られています。逆に、土地が決まれば、具体的な検討もでき、他のHMとの競合に勝てば契約が取れるため、ハウスメーカー側のやる気も違ってくる気がします。
この打ち合わせではPさんの一層のやる気を感じました。
先方は、営業担当のPさん、Pさんのサポート役のUさん、そして設計士のVさんです。
Uさんは、入社二年目ぐらいの若手でPさんの部下のようです。上品でとても感じの良い方ですが、まだまだ勉強中という感じで、打ち合わせ中はメモ取りに徹していました。
「社外」建築士が設計を担当
三井ホームは、デザインや提案にとても力を入れている会社です。
専門性を追求するため、三井ホームデザイン研究所という関連会社を持っており、Vさんは三井ホームデザイン研究所所属のベテラン建築士です。なお、資本関係の無い外部の設計事務所に所属する建築士が設計を担当することもあるようです。
設計から現場まで、同じ組織の中ですり合わせを可能にすることで得られるものもあると思いますが、設計の専門性を重視して独立した組織をつくったり、外部のノウハウを活用したりするというのも一つの見識だと思います。
打合せの中で、営業担当と設計士の関係が他社の場合とは異なり、営業担当から見ると、設計士が半ば「お客様」的な位置づけにいた点は、興味深かったです。
後になって設計関連の費用を比較してみたところ、三井ホームは300万円越え。積水ハウスは200万円弱、住友林業はさらに安く、三井ホームが断トツに高額でした。設計部門が別会社で収益部門として扱われるために、しっかりと利益計上されているのだと思います。
利益分をどの項目に含めるかという会計的な問題だと思うので、この部分だけを見て三井ホームが高いとは思いませんが、設計士さんにはプレッシャーがかかりそうです。
要望資料を用意
先行した住友林業との検討では、設計士に要望を伝えきれないうちにプランの提案になってしまった、という反省がありました。
私たちは家づくり素人で、価格の水準、要望の伝え方、家づくりの常識など、打ち合わせを通じて学んだことが多くあります。家作りをする多くの人に当てはまることだと思うので、こうした点で、先行するハウスメーカーは少し不利かもしれません。
この反省をもとに作成した要望資料を使って、ライフスタイル、理想とする家のイメージ、必要な機能、重視するポイントなどを、ひとつずつ説明しました。
30ページ以上あるパワーポイント資料だったので、一通り説明するのに一時間半かかりました。途中で、Vさんからいろいろと質問があったり、こちらが説明したことを資料の余白に丁寧にメモしている姿を見て、思いが伝えられたという実感がありました。
Vさんは、外連味のない誠実な方で、文字通り「寄り添う」タイプの設計士です。一通り話を聞いて、「分かりました。まず図面をひいてみます」と一言おっしゃいました。
住友林業の、いかにも切れ者的な雰囲気を醸し出す設計士と比べると、おとなしく、質問以外の口数も少ないVさん。この時は、いかにも誠実そうな人だなぁという印象はあったものの、「本当に大丈夫かな、良いプランを書いてくれるかな?」と、一抹の不安を抱いていました。
今にして思えば、本当に失礼でした。申し訳ありませんでした。
素晴らしいプラン提案
要望ヒアリングから一か月、いよいよプラン提案のミーティングです。少し間隔が空きましたが、プラン作成に2週間程度、その後社内レビューを経るため時間がかかるようです。
間取図をもとに、道路からアプローチ、玄関、LDKと進みながら、Vさんが説明してくれるのですが、使い勝手・住み心地や、私たちが何を大事と思っているのか、とてもよく考えてあることが伝わる間取りと説明でした。
一階の間取りのシンボル的な要素は次の通りです。
印象をまとめれば、
- 暖かく包み込まれるような家
- 玄関・階段からLDKまで、一体感がある
- ボトムアップで個別のニーズを丁寧にくみ上げた上で、まとまりのある設計に仕上げている
- カッコよさや見栄を追わず、居心地の良さを追求した、Vさんの人柄を反映するようなデザイン
- 内外から見える窓のライン、壁のラインなど、美観に影響を与える収まりが細かいところまで考え抜かれている
しかも動線を確保するためだけのスペースをできる限り少なくしているため、坪数のわりに居室や収納スペースの広さが確保できているあたりは、さすがプロだと感じました。想像をはるかに超える提案に、一気にVさんのファンになりました。
スケルトン階段は考えたこともなかったのですが、玄関とリビングの両方から見える位置で、下に植栽や照明を置くととてもおしゃれ。スケルトン階段そのものではなく、スケルトン階段によって作り出される視線の抜けにしびれました。
住友林業の初回プラン提示の打ち合わせで気分が落ち込み悲観的になっていた私たちですが、このプラン提案を見て気分が一気に明るくなりました。
家に帰ってレビューした後に、「印象としては、リビングの窓越しの景色や隣家の見え方について確認した上で問題が無ければ、プランのコンセプトや骨格については大きな変更は必要ないのではないかなと感じています」とメールを送りましたが、実際に最後まで、コンセプトや骨格は変わりませんでした。
気になった点
ほぼ申し分のない提案内容ですが、気になる点が全くないわけではありません。
窓越しの景色
フィードバックの中に書いた「リビングの窓越しの景色や隣家の見え方」という点は、外構計画を考える上で、重要なポイントになりました。
上のパース図にある大開口の窓は幅が3.8mで南を向いており、4~5メートル先には隣の家の壁があります。
せっかくの大開口から見える景色が、隣家の壁だけでは悲しすぎる、ということで外構計画で良いアイデアを出してもらうことを期待しました。
予算に収まる?
前回の打ち合わせで、Pさんが資金計画チェックリストを使って金額を説明してくれたので、ある程度予算の金額についてはイメージが摺りあっていると信じたいところですが、ぱっと見るだけでも、高いと言われているアイテムがいくつか使われているのが分かります。
- スケルトン階段 → 200万越え
- 大開口の窓 → 150万越え
- 外壁のタイル張り → 300万越え
金額は後の初回見積もりに含まれていたもので、この時点では「高いだろう」と想像してはいたものの、実額は知りませんでした。
坪当たり100万円と聞いていましたが、こうした高額アイテムも含めての100万円なのか、それとも追加費用になるのか不安が残ります。
とはいえ、どこから予算を捻出するかは別にして、プランを見てしまうと、これらのアイテムは欠かすことができないと思えてきます。今後の調整に期待することにしました。
大開口の窓
住友林業の提案でも大開口はありましたが、2メートル幅の窓を連ねることで開口部を取るというもの。
今回の三井ホームの提案の中で使われているのは、窓枠が3.8m幅の窓です。
Pさんも、「今までこの大きさの窓は1回しか入れたことがありません。この家だからこそ、この大きさの窓がとても映えて、格好いいと思います」と心をくすぐることを言ってくれます。
しかし、これだけ大きくなると、万が一割れたときに、金額もさることながら簡単に交換できるのか?が気になります。また断熱性も他のYKKの窓に較べるとかなり劣ります。
デザインは魅力的と思う一方で、すこし怖気づく気持ちもあり、YKKの技術者と直接話をする機会を作ってもらうことにしました。
許容応力度計算?それとも壁量計算?
当時は理解が及んでいなかったのですが、振り返ってみて気になる会話が一つありました。
Vさん:「これ、許容応力度でやるんだよね?」 Pさん:「壁量でいいですよ」 Vさん:「え、そうなの?壁量だったらもっといろいろとできるな。考えてみます」
私の聞き間違いでなければ、Pさんは耐震等級3を許容応力度計算ではなく壁量計算の品確法基準で取ればよいと言っているように聞こえます。
いろいろと調べる中で、許容応力度計算で耐震等級3を取ることがとても大事だと感じるようになったので、もし三井ホームを選んでいたら、この点はしっかりと確認していたと思います。
プランの修正
初回プランはほぼ満点の出来だったので、Vさんにお願いしたいのは微調整のみ。主要な点は、
- シャワーブース、玄関周りの簡素化(客用と家族用の区別は必要ない)
- 2階のスペースの割り振り調整
- 窓の検討
の三点に絞られました。そのほかでは、外構計画で窓越しの見え方を整えること、設備の詳細を検討することでした。
人に見せることではなく、自分たちが住むことを最優先にしたかったので、来客用玄関は廃止。
また、換気も考えると居室はできるだけ二方面に窓があった方が良いということで窓を多めにつけてくれていたのですが、全館空調で窓を開けない生活を想定しているので、窓は減らすといった具合です。
家の間取りについては、二度の微調整でほぼ完了。いよいよ見積もり提示、そして金額に大きく影響しそうな設備関係の確認に入ります。
まとめ
今回は、設計士のVさんが主に担当した間取り作成に関してまとめました。後に出てくる積水ハウスの設計士が天才肌だとすれば、Vさんは誠実さと積み上げ型の努力が光るタイプ。間取りも人柄を反映してか暖かみがあり、とても素敵でした。
見積もりは出ていませんが、金額的には結構高くなりそうな予感がしてはいるものの、折り合いをつけてこの家を建てたい、という気持ちが高まってきました。