積水ハウスで、夢をかたちに。

憧れをかたちに、はできなかったけど、3社で迷い積水ハウスになりました。

上棟検査が終わりました

はじめに

建方工事が終わったところで、インスペクターにお願いした検査の3回目、上棟検査です。

あいにく上棟検査の日は激しい雨でしたが、二人のインスペクターが丁寧にチェックしてくれました。積水ハウス積水ハウス建設の現場監督に加え、施工を担当した棟梁のチーム3名も現場に立ち会ってくれました。

この記事では、上棟検査の具体的な内容と結果についてご紹介します。

主な検査内容

屋根ルーフィング施工状況

屋根ルーフィングは、建物の防水性を確保するための重要な工程です。ルーフィング材が正しく敷設されているか、重なり部分が適切に処理されているかを確認します。これにより、雨水の侵入を防ぎ、建物内部を保護します。施工不良があると、雨漏りの原因になるため、細部まで注意深く検査を行います。

耐力壁

耐力壁は、建物の水平力を支えるための重要な構造要素です。釘打ちの間隔や深さが設計図通りであるかを確認します。釘が適切に打たれていないと、耐震性が低下し、建物の安全性に影響を及ぼす可能性があります。特に、釘の種類や使用数も重要なチェックポイントです。

剛床の釘打ち

剛床工法では、床下地合板を梁に直接固定し、水平力に対する強度を高めます。釘打ちの間隔や深さが適切であるかを確認し、床の剛性を確保します。特に、合板の継ぎ目や端部における釘の配置が重要で、施工基準に従っているかを確認します。これにより、地震時の揺れを効果的に抑制します。

床の水平精度測定

床の水平精度は、建物の安定性と居住性に直結します。レーザーレベルや水準器を用いて、床面が水平であるかを測定します。水平でない場合、家具の配置や居住者の快適性に影響を与える可能性があります。必要に応じて調整を行い、精度を確保します。

壁や柱の垂直精度測定

壁や柱の垂直精度は、建物の構造的安定性に影響します。垂直度を測定し、設計通りに施工されているかを確認します。垂直でない場合、建物の荷重が不均等にかかり、長期的な構造の歪みや損傷を引き起こす可能性があります。

構造金物の確認

構造金物は、建物の各部材をしっかりと結合するために使用されます。金物が正しい位置に取り付けられ、しっかりと固定されているかを確認します。特に、ボルトやナットの締め付け具合、腐食の有無などもチェックし、構造の安全性を確保します。

構造材の含水率測定

木材の含水率は、建物の耐久性に大きく影響します。含水率計を使用して、木材の含水率が適切な範囲内にあるかを測定します。含水率が高いと、木材が変形したり腐敗したりする可能性があるため、適切な乾燥状態を維持することが重要です。

検査の様子

インスペクターや現場監督は予定時間より早く現場に到着しており、私が現場に着いた頃には検査はすでに半ばでした。残りの作業は、内外の釘打ちと合板の状態確認、そして含水率検査でした。

釘打ちの確認

大雨の中、現場監督とインスペクターは雨具を身に着けて屋外の足場に上ってくれました。耐力壁のくぎ打ちは構造上非常に重要な点なので、すべての釘を一本一本確認する全数調査をするのだそうです。

釘打ちは、

  • 釘の打ち漏れ
  • 釘が深くめり込みすぎている
  • 釘を打つ場所が合板の節に当たっている

といった場合に不適切とみなされます。

職人さんに聞いたところ、電動釘打ち機を使う際、同じ設定でも打ち込む角度や木の硬さによって釘のめり込み方が変わるため、注意しながら作業しているそうです。

屋外の検査が終わると、次は屋内に移り、剛床(床に張った構造用合板)の釘打ちも一本ずつ確認していました。

含水率の検査

インスペクターは、含水率計(木材水分計)を持参されていました。同じ製品ではありませんが、下の写真のような形をしており、含水率を計測したい木材の表面に当てると含水率を一瞬で計算してくれる便利なツールです。

実際には、微小な電気を流すことで木材の電気抵抗を測っているようです。含水率により木材の電気抵抗が異なることを利用して、計測した電気抵抗から逆算で含水率を推定しています。

電気抵抗を測るだけなので、さほど高額ではなく、写真の商品であればAmazonなどで数千円程度で手に入ります。

含水率計

検査結果

特に水平精度・垂直精度といった点では、ほとんど狂いが無く、基準値よりもはるかに精度が高いという結果でした。

また、釘の打ち漏れも全部で1本だけ。そのほかは節にかかっている釘が3本あったようです。他の現場と比較すると圧倒的に少ないそうで、インスペクターも感心することしきりです。膨大な数の釘を打つ中で、人がやることだからミスは避けられないと思っていたラクダも、漏れの少なさにびっくりしました。

棟梁が、「何回も見たんだけどなあ。よく見つけたなあ。」と悔しがるのを、ベテランのインスペクターが「目が変わると見つかることもあるから。」と慰めるなど、お互いのプロ意識が見えて嬉しくなる会話もありました。

この指摘事項については、その場で釘を増し打ちして是正完了です。

その他では、合板の含水率が基準値を超えている場所が何か所か見つかりました。梅雨の時期で、湿気てしまったのではないかと思います。

結構含水率が高いものもあったので、作業中にちょっと雨がかかってしまった、というレベルではなさそうです。これらの合板については、風をあてて乾かすなどの手立てをとり、後日含水率を再計測して基準である20%を下回ることを確認することになりました。

この他には確認事項がありましたが、後日確認したところ問題ありませんでした。

上棟検査の様子

全体的な印象

この他に軽微な確認事項がありましたが、具体的な是正が必要なのは合板を乾かすことだけ。こちらも再測定の際には乾いており、無事に工事を進められることになりました。こうした指摘事項について、合意通りに是正対応をしてくれるあたりは、さすが積水ハウスです。

総じて建方工事のチームは素晴らしい仕事をしてくれた、ということがよく分かりました。その時の印象としては、「さすが積水ハウス、工事もしっかりとしている」ととても心強く思ったことを覚えています。

含水率については違和感

少し時間をおいて振り返ってみると、含水率超過は解せません。含水率はJASの規格で「ヒノキ、スギなどの針葉樹の構造材の含水率は20パーセント以下」と定められています。JAS規格には強制力がないのかもしれませんが、積水ハウスが無視しているとも思えません。

建方工事チームの丁寧な仕事ぶり、合板を貼る前に屋根組が終わっており、柱を立て始めてから屋根をかけるまでは雨が降らなかったこと、などを考えると私たちの家だけがたまたま湿気ていた、ということも考えにくそうです。少なくとも梅雨の時期には同様の事例が多数発生しうる、と考える方が自然に思えます。

それにもかかわらず、現場監督たちとの会話から推測すると、積水ハウスが含水率を現場で事前に測っていた形跡が無く、インスペクションをしていなければ、湿気たまま、建築が進んでいたように思えます。

推測でしかありませんが、積水ハウスは建材を工場から出荷するタイミングで含水率を基準値以内に収めるようなプロセスになっているのではないかと、推測しました。(ここでは、私たちの現場監督だけ、こうした点を見落とした、という可能性は無視しています。)

改めてJAS基準をみると、どのタイミングで含水率を計測するかが書いてありません。さらにJAS日本農林規格)は農産物の”生産”基準であることを考えると、木材使用時ではなく、木材生産時の基準であると考えるのが自然です。建築基準法等のように、家に焦点をあてて家を建てるタイミングで守るべきことを定めているものとは異なる運用になる所以ではないかと思います。

この解釈が正しければ、形式的にはインスペクター、ひいては私たちが期待していることはJAS基準を上回る要求であったことになります。

本当のところはわかりません。

しかし、趣旨からすれば「工場出荷時に含水率が低ければ、使うときに水にかぶったままでも問題なく、そのまま断熱材などの施工を続けてよい。」とはならないはずです。

これ以降のいくつかの事例と合わせて、現場運営に対して「マニュアルや社内基準を順守することが目的となっており、その背景や考え方を理解する努力をしていないのではないか?」という懸念が徐々に強くなるのですが、その端緒となった出来事と言えるかもしれません。

まとめ

基礎に関する2回の検査に続き3回目のインスペクションでしたが、現場の職人さんたちの仕事ぶりに関しては非常に心強く感じる内容でした。

ただし、現場のハンドリングに対する信頼感にかすかな疑いが生まれたのもこのタイミングだったかもしれません。これ以降、現場でいくつか懸念点が発生することになりますが、それらについては別記事で。