積水ハウスで、夢をかたちに。

憧れをかたちに、はできなかったけど、3社で迷い積水ハウスになりました。

設備の割引率を徹底解説

目次

はじめに

前の記事で紹介した通り、ハウスメーカー仕入れる商品には割引が適用されていることがあります。今回は、割引率について得た情報・感じたことをまとめました。

ここでは、主にハウスメーカー単位や支店単位で設定されている各商品の割引率について触れたいと思います。なお、タイミングや個別の交渉によって適用されるキャンペーン値引きやその他の値引きは、今回は取り上げません。

また、定価という言い方には法的な問題があり、実際には希望小売価格などの言い方が使われていますが、ここではメーカーが示した消費者向けの価格水準を定価と呼ぶことにします。

割引率の基礎知識

割引率は定価との関係で考える必要がある

施主である私たちにとっては、最終的にいくら払うことになるかが肝心です。

そのため、定価が高く設定されているが割引率も高い場合と、定価が低いが割引率も低い場合で最終的な価格が同じであれば、気にする必要はありません。異なる設備メーカーの商品を比較する際には、割引率だけを見ることには意味がありません。

たとえば、タカラスタンダードは定価が抑えられている一方で、割引率も他の大手メーカー(例:LIXIL、クリナップ、TOTOパナソニック)と比較すると非常に小幅で、実勢価格は近づくと言われています。

割引率はHMと設備・素材メーカーの関係を反映する

大量発注のメリット

大量に仕入れるハウスメーカーは低い仕入値を確保することで、高い割引率を提供できる可能性が高まります。特に大量に同じ商品を仕入れる場合には、設備・素材メーカー側から見ても製造・管理コストが下がるため、良い条件を得やすくなります。

この点で、大手ハウスメーカーで建築戸数が多いところは有利です。取り扱いメーカーやモデルを絞れば、一層の大量発注効果が期待できるでしょう。このあたりが標準仕様へどの程度強力に誘導していくか、会社ごとの考え方の違いに繋がります。

賃貸物件建築部門や、建売分譲ビジネスとのシナジー

また、賃貸物件(例:ヘーベルメゾン、シャーメゾン)や建売分譲を大規模に手がけているハウスメーカーも、潜在的に大きな優位性を持つ可能性があります。賃貸や建売は、注文住宅に比べると戸数が何倍にもなるため、スケールメリットが効きます。

更に入居者が好みも反映して個別に設備仕様を決める注文住宅と違い、HMのアドバイスを受けた貸主(賃貸物件)やHM(建売分譲)が、投資効率やコストパフォーマンスを考えながらまとめて発注することになります。

設備・素材メーカーからすれば、この決定プロセスにより強い影響力を持つHMをつなぎとめておきたいというより強いインセンティブが働くはずです。購買部門が、注文住宅部門と賃貸住宅・建売住宅部門で一体化していれば、賃貸・建売でのバーゲニングパワーを注文住宅にもいかすことができるのではないかと思います。

資本関係を通じた関係強化

さらに、マルホン(無垢床のトップメーカー)を積水ハウスが子会社化したり、住友林業がトクラス(キッチン、風呂、洗面台など)に出資したりといった資本関係の有無も割引率に影響を与える可能性があります。

同一メーカーでも価格帯で大きく異なる

大手設備メーカーは異なる客層に対応するために複数のラインナップを持つことが一般的です。

中間価格帯と高価格帯の商品の間では定価のレンジが重なることも多いのですが、高価格帯の商品は割引率が低く、採用数の多い価格帯になると割引率が大きくなる傾向があります。結果として、実勢価格には大きな差がつきやすいのです。

例として大手キッチンメーカーのラインナップを表にしました。

メーカー 高級
価格帯
大手HM
標準仕様
相当
中間
価格帯
普及
価格帯
パナソニック L Class ラクシーナ
LIXIL リシェル ノクト シエラS
クリナップ Centro STEDIA rakuera
トクラス Collagia Bb

定価ベースでみると、ラインナップ内でも様々な仕様があり、下の価格帯でオプションを盛り込んだ構成が、上の価格帯の標準的な構成よりも高額になることも稀ではありません。

メーカー間の水準合わせは、大手HMの標準仕様でベースモデルに採用されやすいラインナップを基準に並べています。この表は必ずしもLクラスやCentroがリシェルやCollagiaよりも格上であることを示唆するものではありません。逆にCollagiaやリシェルは、カスタマイズにより高級価格帯までカバーしているとも読み取れます。

HMで新築する際のキッチンの割引率はあまり情報が公開されていませんが、リフォーム業者は積極的に値引き率を広告しており、ある程度の水準感が見えてきます。

ここでは、「キッチン先生」のサイト

kitchen-reform.club

にある情報をもとに、まずリフォーム業者8-10社の価格平均とされているものをまとめました。

メーカー 高級
価格帯
大手HM
標準仕様
相当
中間
価格帯
普及
価格帯
パナソニック 42% 61%
LIXIL 35% 56% 64%
クリナップ 23% 36% 65%
トクラス 38% 65%

ただし、詳細に見るとあまり現実的と思えない値引きを提示している業者もありました。大幅な割引で引きつけておいて、工事費に上乗せして回収することなどを前提した見かけ上の値引きが提示されている可能性も否定できないので、少し割り引いて考えるべきでしょう。

このため、「システムキッチンの適切な値引き率は?【全メーカー公開】」からのサマリーも引用させていただきます。

kitchen-reform.club

メーカー 高級
価格帯
大手HM
標準仕様
相当
中間
価格帯
普及
価格帯
パナソニック 30-40% 40-50%
LIXIL 30-40% 40-50% 50-60%
クリナップ 20-30% 20-40% 40-60%
トクラス 30-40% 40-50%

リフォームとHMではビジネスモデルも違うので、この数字の絶対水準が注文住宅にそのまま当てはまるわけではありません。しかし、この表に更に数字プラスマイナス5%ぐらいのレンジで見れば、かなり良い線をついていると感じました。

割引が無いもの、あまり感じないものも多い

キッチンの例を見ると大幅な割引に期待が高まりますが、大幅割引は競争が激しい少数の分野に限られており、インテリアで個別性の高いものはあまり割引がありません。

契約後の打合せの中で追加・変更したくなるものの中でも、

  • 壁紙・床材・天井材・タイル
  • トイレの紙巻き器、ドアノブ、タオルフックなどの小物

などはほぼ定価か、あるいは割引があっても工賃部分のインパクトが大きく、割引の有無をあまり感じられない項目です。

金額的には設備の方が大きいですが、契約後の打ち合わせで出てくる件数が多いため、打合せを進める中でこうした資材が定価で加わってくると気分には大きな影響があるかもしれません。ともすれば、「契約してしまったから割引がないんじゃないか。契約前であれば違ったのではないか。」などと考えがちですが、あらかじめそういうものだと思っておいた方がよさそうです。

また、当たり前ですが、造作家具のような一品物は割引という概念自体がなじみません。

割引率が高いもの

水まわり

キッチン、風呂、洗面台、トイレなどは定価から大幅に割引された金額が見積もりに入っています。採用・検討したものの中ではトイレの上級ラインナップのものの割引率が一番渋そうな感じでした。

照明器具

ダウンライトなどによく使われる大光電機やコイズミ照明などは、50%とはいきませんが、それなりの割引が期待できます。ただし、海外有名ブランドの吊照明などは興味がなく検討しなかったので、割引があるかどうかは不明です。

収納

フィットラック、南海プライウッド、永大などのシステム収納も大きな割引がありました。

空調・給湯・電気関係

エアコン(除く全館空調)、エコキュート太陽光発電、蓄電池も水回りと並んで定価と実勢価格の乖離が大きい分野だと思います。

特にエアコンなどは、そもそもオープン価格が一般的になりつつあり、定価という概念は他の分野にも増して有名無実になりつつあります。ともあれエアコンについては、大幅な割引があるように見えますが、家電量販店で購入するより少し高い印象でした。ただし、割引率は一年を通じて安定しており、モデルチェンジの時期に関係なく変わりません。そのため、導入するタイミングによって受け止め方が大きく変わると思います。

エコキュート太陽光発電、蓄電池なども定価から見ると時に5割以上の大幅な割引が適用される設備です。とはいえはリフォーム業者で最安値を提示されている価格の2割増し前後といった印象をうけました。リフォーム業者は工事費が別になっていることが多い一方でHMは諸経費が別途かかるので、トータルで見るとやはりHMの方がやや高いでしょうか。分離発注しにくい設備であることは別にしても、メンテナンスのことなども考えると絶妙な値付けだと思います。

まとめ

割引率に関する情報は、ハウスメーカーや支店、さらには商品によって大きく異なります。高額な設備やシステム収納、空調・給湯・電気関係では大幅な割引が期待できますが、個別性の高いインテリアや造作家具では割引が少ないこともあります。

みつもりに定価で入っているものをみて疑心暗鬼にならないためにも、この記事が、家づくりの際のコストを理解し、賢く選択する一助となれば幸いです。