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憧れをかたちに、はできなかったけど、3社で迷い積水ハウスになりました。

家づくりの追加コスト徹底解説:見落としがちな要素と注意点

はじめに

家を建てる際、プランに仕様追加する場合のコストがどのように決まるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。本記事では、仕様追加する際の具体的なコスト構成について解説します。この記事を参考に、見積もりをより詳しく理解し、納得のいく家づくりを目指しましょう。

設備等を追加するためのコスト

プランに仕様追加する場合のコスト(消費税抜き)は、

$$\left[(資材価格 \times 割引率 + 工賃)+(関連する工事費用)\right]\times 諸経費$$

で決まります。

資材価格(上代

追加する設備や素材の定価(上代)です。たとえば、キッチンや床材、壁紙などの設備や素材を追加する場合、メーカーのカタログに記載されている数字がこれに当たります。どのハウスメーカー(HM)あるいは工務店で家を建てるにしても、同じ設備であれば原則同じ金額になります。ただし価格の中に輸送費なども含めている場合には、地域によって価格差が出る場合があるかもしれません。

また、設備メーカーのショールームが作成する見積もりも定価ベースのものです。施主が払う金額は、次に述べる割引率を加味した上で、HMが作成する見積もりに記載されます。

割引率

各HMが設定する割引率です。

という3つの要素を考慮して、割引率を決めます。このなかで特に大きな要素を占めるのが、仕入れ時の掛け目です。ハウスメーカーと設備・素材メーカー間の協力関係(取引量の多さ)や、他の設備・素材メーカーとの競合度合いが影響します。

実際にはHM単位ではなく、支店単位で割引率は異なるようです。私たちの地域では、「設備メーカー間の競争が激しいので、***の設備はかなり安い値段で仕入れることができます」と言った説明を受けたことがあります。

資材価格×割引率をHMにとっての定価と考えるとイメージが湧きやすいでしょう。

この資材価格×割引率に加え、個別の事情(施主に対する特別割引、キャンペーン期間など)で値引きが提案されることもあるようです。

工賃

直接的な施工費用や設備の据え付け費用です。工賃が素材価格よりも高くなる場合もあります。代表例はセラミックタイルです。タイルを一枚一枚貼っていく工賃は相当に高く、工賃が素材価格の数倍になることも珍しくありません。

工賃の最大の要素は職人さんの人件費です。同じ工法・手間・難易度のタイル張りであれば、素材価格が大きく違っても工賃はあまり違いません。一方で、エコカラットやフロアタイル(塩ビ製)、メラミンパネル(AICAなど)は施工が容易であるため、セラミックタイルや石を貼るのに比べると大幅に安上がりです。

判断の目安として、現場の手間がかかる、技術が必要、丁寧に施工しないとムラが出やすい、素材が重かったり厚かったりする、乾燥させる手間などがかかると工賃は高めになります。

また、ハウスメーカーがよく使う素材・工法であれば、下請け業者に切れ目なく発注できるため、工賃は安定しやすいでしょう。たとえば、住友林業で無垢板のフローリングを施工する際の工賃は、他社がマルホンなどの無垢板を使って施工するのに比べて、材料のみならず工賃も安くなるのではないかと思います。

逆に、あまり採用されない素材・工法は、下請け業者を囲っておくわけにもいかず、単価が高くなることがあります。私たちはあるハウスメーカーで提案仕様的な位置づけてカタログに掲載されている仕様を採用しようとしましたが、その施工ができる業者が地域に見つからないために断念したこともあります。

関連工事費用

施工内容によっては、その仕様を取り入れるにあたって、直接的な原材料・設備とそれに関する工賃に加えて、追加的な工事が必要になることがあります。たとえば、タイルを壁・床にはる場合や、木質天井にする場合には、下地に追加的な費用が必要になることがあります。間接照明を入れようとする場合、照明器具を設置する場所で天井や壁を上げたり下げたりする造作も必要です。

私たちの例では、部屋の天井に100Kg超の荷重に耐えられるハンモックフックを追加しようとしたところ、天井面から梁までをつなぐ金具の特注と設置が必要 になりました。このような費用も地味に積み上がってきます。

諸経費

私たちが家づくりを検討し始めたころ、意中のハウスメーカー住友林業でした。当時、住友林業のデメリットについて調べるとよく出てきたのが「きこりん税」です。提案仕様に対してかかると言われた12%の諸経費(マークアップ)のことです。

住友林業は見積もりの表記の仕方を変え、いわゆるきこりん税という形での表記は2022年春ごろに廃止されました。しかし、各社の詳細見積もりを見ると、世間のイメージが実態と少し異なることがわかります。

  • 諸経費はオプション・提案仕様だけでなく、基礎・躯体・外装・内装を含め、家づくりのすべてにかかっている。
  • 住友林業だけでなく、積水ハウス三井ホームも諸経費をチャージしている。

ざっくりとした資金計画書レベルでは、どのハウスメーカーも諸経費を本体工事の総額の中に含めています。追加的な工事については、他のハウスメーカーは諸経費を工事費用の内数として取り扱っていましたが、住友林業だけは諸経費前の数字+12%の諸経費という表記の仕方をしていました。

2022年春に、住友林業も追加部分の工事に関する諸経費を工事費用の内数として取り扱うように変更したため、資金計画書レベルの資料では表に見えてこなくなりました。このため、住友林業だけが追加で12%取られるという誤ったイメージが広まったのです。

住友林業では12%と言われていた諸経費ですが、計算してみたところ三井ホームは10%弱、積水ハウスは8%でした。ただし、このことだけを持って積水ハウスが一番安いという結論にはなりません。ハウスメーカーは利益を資材価格(割引率)や工賃の中にも含めているため、諸経費という項目で利益を多く取るか、逆に割引率を低めにしたり工賃を高めにすることで利益を確保するかのアプローチの違いがあります。

これは社内の部門間の仕切りレートの決め方など管理会計に関連しているのではないかと思いますが、社内のことはわかりません。結局、私たちにとって重要なのは、合計でいくらになるか総額でハウスメーカーを比較して判断することです。

仕様の入れ替えの場合

仕様を入れ替える場合、入れ替え前の仕様に関わるコストを見積もりから引き、入れ替え後の仕様に関わるコストを見積もりに足すことになります。最初に挙げた、

$$\left[(資材価格 \times 割引率 + 工賃)+(関連する工事費用)\right]\times 諸経費$$

を見ながら、資材価格では同水準あるいは減額にしたのに、コストが上がってしまうケースをいくつか挙げます。

ケース1:フロアタイル → 乾式タイル

これは私たちが実際に経験した例の一つです。洗面の床にかなり単価の高いフロアタイルを採用予定で見積もってもらっていたのですが、乾式タイルに変更することになりました。もとのフロアタイルの価格が高かったため、素材の価格だけをみるとさほどコストは上昇しないはずが、工賃が大幅に違ったために20万円以上の増額になりました。

ケース2:ラクシーナ → Lクラスへのキッチン変更

設備メーカーは、主力商品で大量に販売する中間クラス(パナソニックラクシーナ、リクシル:ノクト、トクラス:Bbなど)と、上位クラス(パナソニック:Lクラス、リクシル:リシェル、トクラス:Collagia)では、割引率が大きく違うことが珍しくありません。このため定価ベースではほぼ同額の中間クラスの「もりもり仕様」と、上位クラスの「シンプルな仕様」があったとしても、割引率を考慮した現実の価格では上位機種が大幅に高くなることがあります。

ケース3:標準仕様アイテムのカスタマイズ

これも私たちの実例です。あるハウスメーカーのカタログにあるトイレで、リモコンの色を銀色から黒色に変更しようとしたところ、設備メーカー定価はほぼ変わらないのにも関わらず、5万円の追加費用との見積もりでした。ハウスメーカー品番では黒のリモコンが提供されていないため、特注扱いになり掛け目が変わるため5万円かかるとのことでした。

別のハウスメーカーでは、レンジフードを変更しようとしたところ30万円の追加との見積もりでした。変更前後のレンジフードの価格差は数万円なのに、特注が絡み割引率が大幅に引き下がったことが原因のようです。

怖いのは、リモコンやレンジフードがHMの標準の枠組み(HM品番が振られた商品)から外れることで、トイレやキッチンの他の部分の割引率も変化してしまうことです。

まとめ

普段は資材や設備の価格に注目しがちですが、今回は見落とされがちな要素も含めて、全体のコストがどのように計算されるかをまとめてみました。最終的には、しっかりと見積もりを取り、詳細見積もりをつぶさに調べたり比較することが重要です。しかし、この記事をもとにどのような費用がかかるかのイメージをつかむことで、驚きが減り、より的確なコスト予測ができるようになるのではないかと思います。