積水ハウスで、夢をかたちに。

憧れをかたちに、はできなかったけど、3社で迷い積水ハウスになりました。

三井ホーム(8)振り返っての感想、選べなかった理由

はじめに

これまで、私たちの三井ホームでの家づくり経験を7つの記事でご紹介してきました。今回は、全体を振り返って、私たちの印象をまとめたいと思います。

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デザイン・スタイル

強み

三井ホームは、2X6工法・高い断熱性・全館空調を活かしたデザインでは、他社の追随を許しません。吹き抜けや、玄関からLDKまでが一体となった大空間も、空調面での心配をすることなく採用できるのは三井ホームならではの強みです。

洋風デザインに軸足を置いている点も、和モダンや機能性重視の内装を基調とする他の多くのハウスメーカーとは大きな違いです。

海外の家では、花、絵画、写真、置物などを積極的に飾るなど、空間に物を追加して彩りを添える発想が一般的です。洋風デザインの特徴として、大空間と並んで装飾的な要素を大事にする点が挙げられます。巾木、額縁、建具など、家の機能として必要なパーツにも装飾性を意識して作られており、家全体としてバランスが良いと思います。

これらの点から、三井ホームの家は、装飾性の高い照明や家具を採用したい方に特にマッチするのではないかと思います。

メリットにもデメリットにもなる点

デザイン面で私たちが最大の制約と感じたのが、垂れ壁(天井から垂れ下がる壁)やコーナーに窓を設置するのが難しい点です。一方で、コーナーまで全面を窓にするのは軸組み工法の得意な領域ですが、カーテンだまりが取れなかったり、コンセントの配置が難しくなったりするデメリットがある点は、考慮すべきだと思います。

垂れ壁については、天井の高さを調節したり、間接照明を仕込んだりするデザイン上の工夫で、デメリットをメリットに替えることも可能です。三井ホームはこうした工夫が得意ですので、デザインの好みによっては不満は出ないかもしれません。

天井面に凹凸ができることに対しても、好き嫌いはありです。三井ホームは凹凸や複雑さを肯定的に捉えるデザインスタイルで、建具の高さや窓のラインを揃えることに対しても、それほど重視していないように感じました。

こうしたデザインの方向性は、家の中に曲線を取り入れたり、意図的に壁に凹凸を取り入れたりするデザインが好みの方には、好意的に受け止められる気もします。

私たちの場合は、家づくりの過程で、窓・壁・建具・家具の配置など、様々な面で直線がすっきりと揃っていて、敢えて変化を求めないミニマルなデザインが好みであることに気づきました。こうした目で見てしまうと、天井の凹凸や、建具のラインが揃わない点は、残念なポイントになってしまいました。

コスト面

我が家が検討した3社(三井ホーム積水ハウス住友林業)の比較では、住友林業が木を中心にしたデザインのまとまりが良く、あまり凝らなくても雰囲気のあるインテリアになるように思えます。標準で選べる無垢床の存在感が強く、好みに応じて住友クレストの家具や、ウッドパネルなどを追加することで、統一感と雰囲気のあるインテリアが完成します。

一方、三井ホームは、洋風で装飾を足していくデザインと相性が良く、装飾・家具・照明等にこだわることで内装を充実させるポテンシャルの高い家です。逆に言えば、オシャレにするためにいろいろと課金をする誘惑が大きい家とも言えます。

三井ホームでインテリアの詳細を打ち合わせする機会はありませんでしたが、ICさんの提案力の高さは有名なところ。素晴らしい提案を聞いてしまうと、なかなか採用を見送りにくくなってしまい、金額も積みあがっていきます。

積水ハウスのICさんとのやり取りと同じ密度・目線で、三井ホームの家づくりをしていたら、割引率の違いを別にしても、さらに高額になっていたように思います。

また、垂れ壁の対応で天井を下げたり、間接照明を入れたり、といった工夫にも追加費用がかかってきます。実際、カーテンや照明に関する見積りは、積水ハウスに比べると三井ホームの方がかなり高くなっていました。

三井ホームの採用を考える場合、標準仕様に加えてある程度の予算を用意した方が、家づくりが上手くいく気がします。

会社の体制

アプローチの違い

三井ホームは契約前も契約後も、時間をかけて丁寧に施主に付き合ってくれる印象です。契約を急かすようなプレッシャーはなく、逆に他のHMとの兼ね合いでこちらが設定した意志決定日が近づいても、焦ることなくゆったりと構えた感じでこちらが不安になるぐらいでした。

提案された契約後の打ち合わせスケジュールも、他のHMと比較して非常にゆったりとしていました。他のHMの場合、「効率的にできるだけ早く進めたい」と営業担当が考えていることはひしひしと伝わってきますが、三井ホームは時間をかけて丁寧に対応してくれるのが印象的でした。

三井ホームのこうした鷹揚さは、販売戸数を追うより、手間はかかっても手厚いサービスを提供することで、単価の高い顧客層を取り込みたいという姿勢の表れなのかもしれません。

規模の違い

2023年度の大手HMの販売戸数を見ると、三井ホーム積水ハウスと比べると約10分の1、住友林業と比べても約3分の1です。規模の違いは、各社の体質の違いに大きな影響があるように思えます。

2023年度大手住宅企業の総販売戸数・戸建て販売戸数

%表示は前年度増減率

企業名 総販売戸数 増減率 戸建て販売戸数 増減率
大和ハウス工業 37,453 △7.7% 5,184 △10.0%
積水ハウス 34,159 △12.7% 9,172 △8.8%
プライムライフテクノロジー 20,045 △2.6% 10,712 △10.4%
パナソニックホームズ 8,787 △3.0% 3,352 △13.8%
ミサワホーム 7,789 1.2% 4,292 △6.8%
トヨタホーム 3,469 △9.2% 3,068 △11.3%
旭化成ホームズ 12,829 △8.4% 5,972 △18.6%
積水化学工業住宅カンパニー 11,540 △8.4% 8,470 △12.7%
住友林業 9,295 △1.3% 8,618 △0.7%
三井ホーム 3,413 0.8% 2,009 △14.0%
ヤマダホームズ 2,691 △1.6% 2,646 1.1%

総販売戸数と戸建て販売戸数の差は、アパート・マンションなどの集合住宅の戸数です。プライムライフテクノロジーズの数字は、傘下の3社(パナソニックホームズ、ミサワホームトヨタホーム)の合計です。

また、戸建て販売戸数は注文住宅だけでなく、建売住宅も含まれています。例えば大和ハウス工業の場合、戸建て販売戸数のうち、注文住宅(請負)が3,424棟、建売住宅(分譲)が1,760棟になります。

この規模の違いが、他の大手HMと異なる企業文化につながっているように感じられます。

組織より人、効率より質?

一般に、規模が大きい組織は、設備投資・システム投資・工業化を進めます。このためには大きな初期投資が必要で固定費もかかりますが、成功すれば業務の効率化、スケールメリットの享受、変動費の抑制ができることに加え、俗人的な要素や手作業を減らすことによる品質の向上、ばらつきの逓減といった多大なメリットが見込めます。

規模があまり大きくないため、こうした設備・システム投資を十分に行えない、あるいは期待できるメリットがそこまで大きくない場合には、人を前面に出し手作り感や肌理細やかな対応を売りにすることが多いでしょう。

三井ホームの年間約3,400戸は小さな数字ではありませんが、仮に年間100億円の投資をしようとすると、一戸当たり約300万円の負担になります。これが、積水ハウスのように年間約34,000戸販売していれば、一戸当たりの負担額は約30万円で済みます。

逆に言えば、販売価格のなかで固定費・投資に振り向けられる割合を固定すると、三井ホームができる投資は相対的に小さくならざるを得ない、ということです。

例えば、標準工法の2X工法と共通部分が多い工法を採用することで、協力工場、外注工場のネットワーク(全18工場のうち、14工場)を活用し設備投資を抑えるなどの工夫がなされています。

このため、組織化・標準化・工業化を追求するかわりに、人を前面に打ち出し、個々の施主のニーズに寄り添った家づくりを徹底することが他のHMに対する有効な差別化になるのだと思います。

扱っているデザインのふり幅の大きさ、打ち合わせスケジュールに関する鷹揚さなども、標準化・効率重視の他のHMとは異なり、三井ホームの文化を反映しているように感じます。

建築事務所に依頼して家を建てるのに少し近い雰囲気を持っているのが、三井ホームなのではないでしょうか。こうした三井ホームの体質がうまく嵌れば、他のHMでは得られない素晴らしい提案を受けることができそうです。

三井ホームを選ばなかった理由

三井ホーム積水ハウスの提案は全く異なるコンセプトですが、どちらも素晴らしいものでした。担当してくれるチームとの相性、タイミングなど、なんらかの要素が一つ違っていただけで、逆の結論になっていたかもしれません。

最終的には、営業担当との縁と、家づくりをストレスなく進めていけるのはどちらか?を考えた結果だったと思います。

三井ホーム営業担当のPさんもすばらしい営業担当でしたが、お忙しいこともあり、途中から若手に任せてフォローできていなかった印象を受けました。上手くいっている間はそれでも構わないのですが、結果として懸念点が払拭されず、安心感という点で差がついてしまったように思えます。

私たちが三井ホームを非常に気に入っているということで、私たちの契約はほぼ取れたものとして、力の配分を調節されていたのかもしれません。ラクダのフィードバックが過度に楽観的な印象を与えていたのではないか?と少し反省するところもありました。

まとめ

三井ホームは、大手HMの中でもユニークな立ち位置にいるHMだと思います。私たちが受けた提案もとても魅力的で、価格面でも十分に競争力があるものでした。3社のコスト比較については、また別の記事にしたいと思います。

和モダンを希望する方には少し合わないかもしれませんが、洋風デザインを希望する木造志向の方にとって、検討に値するハウスメーカーだと思います。