積水ハウスで、夢をかたちに。

憧れをかたちに、はできなかったけど、3社で迷い積水ハウスになりました。

注文住宅のインスペクション、お願いすることにした理由

はじめに

前回の記事で、ホームインスペクションとは何か?、インスペクションは必須なのか?という点について、ラクダが考えたことをお話ししました。

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「施工品質に関して評判の良い大手ハウスメーカーで、住宅性能表示制度を利用する場合には、ホームインスペクションがなくても相応にチェック機能が働いているはず」というのがラクダの認識です。

今回は、それでも私たちがインスペクションを入れようと思った理由をお話します。

インスペクションに期待したこと

検査の深さ・精度の違い

宅建築において最低限守らねばならない基準が建築基準法です。建築時にこれを満たしていない家は違法建築物となり、行政による是正命令や罰金などのペナルティが科される可能性があります。

一方で、建築基準法は最低限の基準を定めたもので、これを満たすだけでは十分ではありません。施工品質とは違う話になってしまいますが、「建築基準法上求められる耐震性は耐震等級1」です。しかしながら、これでは十分ではないということで、法律的には必須要件ではありませんが、望ましい水準として耐震等級2や3といった基準が設けられたわけです。

同様に施工品質に関しても、現実には満たされることが強く望まれる様々な基準があります。

  • 法律に記載されている基準
  • フラット35や瑕疵保険で求められる基準
  • JIS(日本産業規格)やJASS(日本建築学会標準仕様書)などの基準
  • ハウスメーカー独自のガイドラインなどの基準
  • 基準で定められたり求められたりしていない現場判断などの領域

建築会社が依頼する第三者機関は、検査の目的に合わせて限られた範囲を対象にしますが、ホームインスペクターはより幅広くカバーしてくれる点が大きな違いです。

HMと検査機関の馴れ合いリスク

住宅性能表示制度でも第三者機関は入る一方で、検査機関の選定や手配はハウスメーカーが行います。

最終的に受け取る建築性能評価書によって一定の質が確保されていることが分かりますが、検査担当者や検査機関と施主が直接連絡を取る機会はありません。

このため、現場でどのようなやり取りがあるのか、施工品質が実際にどの程度だったのか、といった情報を得ることができません。検査担当者にとって見えているのは施主の顔ではなく、ハウスメーカーの担当者の顔です。

また、登録検査機関は営利企業が多く、大手ハウスメーカーは同じ地域の検査を特定の登録検査機関にまとめて委託しているケースが多いようです。となれば、検査機関側は法令に従う範囲内でハウスメーカーに便宜を図り、引き続き検査業務を受注できるようにしたい、円滑な関係を維持したい、というインセンティブが働いてもおかしくありません。

言うなれば、債券を発行したい企業と、債券の格付けを行うS&P、Moody'sなどの格付け機関との関係に似ています。

これに対して、施主が手配するホームインスペクターは、施主に対して直接責任を負うため、施主側の満足度・口コミなどがより重要になります。ホームインスペクターの存在意義を示すためにも、どちらかというと厳格に検査を行う傾向があります。

現場で緊張感をもって施工してもらえそう

施主が手配した第三者が現場に入り検査をするプロセスを設けることで、HMの現場監督をはじめ現場の方々が緊張感を持って一層注意深く施工してくれるのではないか?という期待がありました。

望んでいるのは、外部検査の存在により現場が一層丁寧に施工してくれるおかげで、結果として軽微なものを除けば指摘はない、という状態です。

万が一の保険

万が一、施工に関してトラブルに見えることが発生したとき、経験・知識のない私たちでは適切な対応ができないと思います。特にハウスメーカー側と見解を異にする状況が発生した時、自分たちと同じサイドに専門知識を持った人がいることは、とても心強いはずです。

これは決して私たちの側に立ってハウスメーカーと戦ってほしいという意味だけではありません。ハウスメーカーの言っていることが正しいにも関わらず、私たちが疑心暗鬼になってしまうことで行き違いが発生した場合でも、ハウスメーカーと利害関係のないホームインスペクターの言うことなら安心して受け入れることができる、というケースもあるのではないかと考えています。

施工状態が理解できる

レポートや現地での説明を通じてホームインスペクターの検査内容や、検査結果を知ることで、施工状態が理解できるようになります。

想定されるデメリット

コスト

インスペクションには結構お金がかかります。依頼する業者・地域にもよりますが、一検査あたり6~10万円が相場のようです。

ピンポイントで一回か二回、気になる過程だけを検査してもらうことも可能ですが、ある程度しっかりとみてもらおうとすると建築工程に応じて5~8回ぐらいの検査をお願いすることになります。

この場合、安くても30~40万円、高ければ80~100万円近い金額になります。

本体価格との兼ね合いで考えると、インスペクションにお金を使うより、家そのものにお金をかけた方がコストパフォーマンスが良い場合も多いのではないかと思います。

ハウスメーカーとの関係

最近でこそインスペクターの認知度も上がってきたようですが、ハウスメーカーの側から見ると「インスペクターは邪魔だけど、施主がどうしてもというから仕方なく」「うちの施工品質や内部検査体制を信用していないのか?」という本音が多いのではないでしょうか?

気持ちの問題は別にしても、検査のたびに現場監督は立ち会う必要があるなど、手間もかかります。指摘事項があれば、それに対応する必要も出てきます。

そのため、インスペクターの選び方や、インスペクターの態度によっては、ハウスメーカーと施主の関係が悪化するリスクもあることを認識し、進め方を考えた方がよいでしょう。

工期への影響

最低限、工程のおわりごとに検査の時間を取る必要があり、検査で指摘事項があれば是正のための時間も必要です。当初のスケジュールがぎりぎりだった場合には、工期に影響が出ることも考えられます。

私たちの決断

上にあげたようなメリット、デメリットを勘案した上で、ホームインスペクターをお願いすることにしました。他の様々な性能を気にするのと同じように、施工品質についても最低限、あるいは標準的なクオリティよりも高い水準を目指したいと思ったからです。

コストについては、家の施工品質は断熱や気密にも増して大事なのでお金をかける価値があるし、「30年住むことを考えたら年に数万円の保険」ということで自分を納得させました。

検査があることで丁寧に施工しようとする意識が高まることで、実際の断熱性能が計算値(理想値)に近づけられるのではないか、気密性を高める上でもプラスなのではないか、と思ったことも背中を押された要因です。

特に断熱材が隙間なくしっかりと入れられているか、サーモガンを使って確認をしてくれるので、直接的な効果を期待しています。

もうひとつのデメリットであるハウスメーカーとの関係悪化のリスクは、一番気にしたポイントです。関係が悪化した場合の居心地の悪さを別にしても、現場の士気が下がるようなことがあれば、本末転倒だからです。この点は、進め方の面でも、インスペクター選定の面でも注意を払いました。この点は改めてまとめたいと思います。

一方で、仮に「うちは検査をしっかりとやっているからもう検査など必要ない。インスペクターは受け入れない」という態度を取られていたら、そのハウスメーカーはお断りしたと思います。「自分たちは自信があるから、検査したかったらしてもかまいませんよ」とどっしりと構えてくれるハウスメーカーの方が信用できますよね。幸いにして、積水ハウスは受け入れOKで、大きな問題は起きませんでした。

まとめ

今回の記事では、私たちがインスペクションを導入することに決めた理由についてまとめました。次回の記事では、インスペクションの具体的な手順や注意点について詳しくご紹介したいと思います。

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