積水ハウスで、夢をかたちに。

憧れをかたちに、はできなかったけど、3社で迷い積水ハウスになりました。

契約前後で立場は逆転?

はじめに

請負契約時の懸念は的中したか?シリーズの第2回は、「契約したら立場は逆転するのか?」です。

私たちの経験について今回は結論から言ってしまえば、「立場が逆転」は大げさで、ハウスメーカーは顧客である施主のことを考えて、しっかりと対応してくれたと思います。

ただ、契約前と契約後で対応が全く同じかというと、それもまた違うかもしれません。

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それにはいくつかの背景があると思います。

営業担当は契約獲得で評価される

そもそも、営業担当も人間なので、契約の前後で対応が全く同じにならないのは自然なことだと思っています。

優秀な営業担当ほど忙しいわけで、有限である時間の使い方を決める際に、その時間を使うこと・使わないことで結果にどう影響がでるか?という視点で優先順位が決まってしまうのは仕方がないと思うのです。

見込み顧客と既に契約した施主の双方にふんだんに時間を使えるようにするためには、営業担当の数を増やすしかありません。しかし数を増やして営業担当一人当たりの獲得顧客数および担当施主数が減れば、施主が負担すべき人件費は上昇してしまいます。

更に、営業担当を増やしたとしても全員が優秀であるとは限りません。施主はより良い家を実現する力を持った優秀な営業担当にこそ担当してほしいでしょうし、実際にそういう担当のところに顧客は集まりやすいはずです。

契約後は、ハウスメーカー側の主役が設計士・ICに交代

私たちが検討した3社は程度の差こそあれ、

|契約を締結するまでは営業担当中心、契約後の家づくりではかなりのウェイトが設計士・インテリアコーディネーター(IC)に移り、営業担当はサポートにまわる| |---|

という感じでした。

営業担当が見積りを概算し、プロジェクトの方向性を決めて契約にこぎつけた後は、設計士・ICがプランを具体化していき、営業担当はその全体管理を行うといった印象です。

私たちもそうですが多くの施主にとって、信頼できる優秀な営業担当がいるかどうかが、ハウスメーカー決定の大きな決め手の一つになると思います。従って、営業担当から設計士・ICに作業主体が移っていき、営業担当の関与の度合いが少し下がってみえるのは心細くなったり不安になる材料となりえます。

しかし新規顧客獲得で評価される営業担当と、良い家をつくり顧客満足度を高めることが評価につながる設計士・ICという位置づけを踏まえると、ハウスメーカー側の主役交代は、「良い設計士・ICにあたれば」という前提条件付きですが、合理的なシステムだと思います。

私たちの場合、こうした体制の変化を意識していなかったこともあり、営業担当から設計士・ICへと主導権が移る過程で少しぎくしゃくしました。しかし、担当してくれた設計士・ICが素晴らしかったこともあり、最終的にはとても満足のいく家づくりになりました。

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それでも営業担当は大事

とはいえ、全体のバランスを考えたり、ハウスメーカー社内での進捗管理、予算管理などを行うのは営業担当。契約後に営業担当が豹変してしまったり、相応に動いてくれなかったりした場合、家づくりが上手くいかなくなるのは言うまでもありません。

そこで今回は、契約前後で可能な限り変わらず良いサポートを得るために、私たちが留意した点も含め、感じたことをまとめます。

契約前後で感じた変化

契約前

契約前は売り込みモードで、営業担当は「私たちがハウスメーカーや提案されているプランに対して良い印象を持ち、彼らを採用すること」を意識した対応だったと感じます。プランについても、実際に建てる際に発生する技術的な問題の検討は保留して、デザインを考えている段階。

「これ、できますか?」という質問に対しては、「できます」というポジティブな返事が素早く返ってくることが多かった印象です。ただし、後から振り返ってみれば、しっかりと裏付けを取らず、営業担当のこれまでの経験に基づいての回答であったことが時折ありました。そこはベテラン営業担当、大抵はそれで間違いないのですが、個別事情や、外部事情の変化などにより答えが間違っていたことも。

また施主の満足度を重視しているのだと思いますが、パース図や、CGのウォークスルーなどは(ハウスメーカーにもよりますが)、要望すれば用意してくれていました。

契約後

契約後は、設計士・ICが全面に出てきていることもあり、「施主が満足する家をしっかりと作る」という意識が強くなる感じです。

進め方や資料に関しては私たちの要望であっても、「あまり良い家づくりに役立たない」と営業担当に判断されたものは、さりげなくスルーされたり抵抗されたり。

例えばパース図は、契約後は数度にわたってヤンワリと作成をお願いをしたものの、一度ももらえませんでした。当然のように、CGでのウォークスルーも無し。

これに関しては、他のハウスメーカーでも言われたのですが、パースやCGと現物では色味や印象が大きく異なることがあり、素材のサンプルをもとに想像力を働かせる方が良いとの判断のようです。

またCGに関しても、大枠のイメージを持つためであればよいのですが、精緻に再現しようとすると特注アイテムなどを中心に限界があるようです。「中途半端なものを渡して誤解が生じるのは避けたい」という説明にもある程度納得せざるを得ません。

質問に対するレスポンスが遅くなったり、「このままではできない」といったフィードバックをもらったりすることも増えてきます。その一方で、家の中身にかかわる要望やフィードバックにはとても真摯に向かい合ってくれるし、こちらが何か言う前から主体的に考えてより良い家にするための提案をしてくれます。

こうした変化は、契約前の段階では暫定版の図面でいわば机上の空論のように考えているところ、契約後に構造計算したり、配管・配線のスペースを考えたり、施工上の問題を加味したりと「現実の家を建てる」という段階に入ったことが要因ではないかと思います。経験では答えられず、一つ一つ図面に書き入れ、計算をして裏付けを取る必要があるためレスポンスに時間がかかり、またその結果として実現が難しくなるケースが出るのでしょう。

比較してみると

今回の記事のために整理して改めて感じたのですが、契約前後の変化は、立場が逆転してハウスメーカー側が強気になるといったモチベーションや立場の変化よりも、

  • 営業担当主体 → 設計士・IC主体に
  • 会社とプランの売り込みが目標 → 良い家を実際に建てることが目標

の二点に関連していたように思えます。

私たちが意識したこと

振り返ってみれば積水ハウスは非常に良い対応をしてくれていたのですが、契約前には当然そこまでわかりません。

契約後に対応が大きく変わってしまうリスクを念頭に、いくつか意識したことがあります。

契約前から意識したこと

信用できる人・会社を選ぶ

私たちが思う信用できる営業マンについては、こちらの記事に書きました。

付け加えるとすれば、自分と相手の力関係に応じて対応が大きく変わる人は要注意だと思っています。打合せの中で、施主の前でも部下や若手に対して横柄な態度を取る人は、信用度が下がります。

いざというときには契約破棄まで視野に入れる

理不尽なことがあった場合に契約を白紙にする覚悟があれば、ハウスメーカーと揉めても納得できる条件で折り合える可能性が高まります。

契約にあたって契約破棄に関する条項はしっかりと確認しました。

私たちが積水ハウスと結んだ契約書では、破棄の段階までにかかった実費は施主負担になりますが、実費以外の違約金は発生しません。また、実費を清算したあとで余りがあれば残りの手付金は返還されます。

着工確認までの実費は、主に設計や地盤調査などに係るもので、手付金の半分強ほどと試算しました。

それでもかなりの金額になりますが、どうしても納得がいかないことが生じたり、信頼関係が壊れた場合には、契約破棄という最終オプションもあり得るという覚悟をしていました。

人間関係を大事にする

らくだは「お客様は神様です」という考え方が大嫌いです。また良い家ができて一番得をするのは施主なので、施主は客という立場にあぐらをかかず、積極的に汗をかくべきだと考えています。

ハウスメーカーの人たちと施主は、良い家をつくるためのパートナーと考えて、

  • ハウスメーカーの人たちを専門家としてリスペクトする(逆にリスペクトできない人たちがいるハウスメーカーだったら契約しない)
  • 良い点、ばかりでなく悪い点も言い方には注意しつつも率直に伝え、コミュニケーションをよくする
  • はっきりと主張する一方で、相手の意見にも耳を傾ける
  • 「俺は客だぞ」式の対応をしない
  • 相手の事情も考え、合理的に対応する

ことを心掛けました。特に価格についてはコストを抑える姿勢は見せつつも、しつこい値引き要求はせず、バリューにあった価格は払うという姿勢でのぞみました。

契約後に意識したこと

営業担当のIさんのおかげで、非常に優秀で相性の良い設計士のOさん、ICのNさんが担当してくれることになりました。

しかし優秀な人のもとには仕事が集まるのでしょう。更に、凝れば凝るほど、設計士、ICの仕事が増えるのをひしひしと感じました。結果として、Iさんだけでなく、OさんもNさんも非常に忙しそうです。

特にOさん、Nさんは時間の許す限り、私たちのリクエストをはるかに超えて、さまざまな検討や提案をしてくれる人たちです。

そこで、彼らにしかできないことにできるだけ時間を割いてもらうために、私たちでもできること、見えている部分の進捗管理などはできる限り自分達でやることを心掛けました。

何よりトラブルが発生したり、誤解があって手戻りしたりすることが一番無駄なので、例えば、以下のような取り組みをしました。

  1. 打合せ事前資料を作成し、ミーティング前に送付
    • 次回の打合せで相談・確認したい内容の一覧
    • 各項目について考えていること、疑問点、仕様の候補の概要
    • TO-DOリストで未済になっているものの一覧
  2. 打合せの議事録をミーティング後に送付
  3. 図面、仕様一覧、見積等を読み込んで、逐一確認
  4. 進捗状況一覧表を随時更新
  5. 設備や建材については、ショールームの訪問やカタログの下調べを実施

ほぼ毎週行っていた打ち合わせは確認の場で、それ以外に打ち合わせに要した時間の何倍も使って、事前準備や事後処理をしていたことになります。割けるエネルギーと時間があったからできたことではありますが、おかげでとても良いプランができたと自負しています。

まとめ

今回は契約前と契約後で受ける印象の違いに焦点を当ててみました。

ハウスメーカーの態度が豹変することはありませんでしたが、契約後の作業はハウスメーカーにとっても労力を要するものであり、体制も変わります。そのため、施主が異なる印象を受けることは大いにありそうです。

施主がこうした事情を踏まえて振舞うことが、より良い家づくりに繋がるのではないかと思っています。